- 本書の概要
- 著者プロフィール
そこで本書は、今後のキャリアに不安を抱えながら、家庭での経済的負担、仕事での重責などと闘う中高年男性が働きやすい社会のあり方を、多くの調査をもとに考察。副業や起業の可能性、コミュニティ、マネープランなど、あらゆる角度から中高年男性のこれからの生き方を提示している。
著者は日本総合研究所 創発戦略センター スペシャリストで、中高年男性および女性、氷河期人材の働き方に関する調査研究、企業の ESGの取組みと人材確保力に関する実証分析等の調査研究などを行う人物。自身が中高年男性にあたる方はもちろん、組織活性を考える企業経営者、人事担当者などにもぜひご一読いただきたい。
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター スペシャリスト。IESS客員主任研究員。ESG企業評価の一環として行っている働き方や女性活躍に取り組む企業に対する診断業務、中高年男性および女性、氷河期人材の働き方に関する調査研究、企業のESGの取組みと人材確保力に関する実証分析等の調査研究に従事。著書に『女性発の働き方改革で男性も変わる、企業も変わる』(経営書院)、『「わたし」のための金融リテラシー』(金融財政事情研究会・共著)等。
第2章 中高年男性をめぐる働き方の課題
第3章 中高年男性は自らの幸福のために何を始める「べき」か
第4章 企業が中高年男性を活かすための方法論
第5章 中高年男性の活躍推進を通じた日本社会の活性化
要約ダイジェスト
中高年男性を取り巻く働き方の現状
総務省および労働政策研究・研修機構によれば、45歳以上の就労者の比率は、1976年時点で約3割であったが、2021年には6割弱まで上昇している。少子高齢化が進む日本社会においては、今後多くの職場において、若手よりも、ミドルやシニア社員が高い比率を占める状況が発生する。
特に、ミドルやシニア世代は、総合職等の女性が少なく、管理職の多くは男性である。将来、少数派の若手が上席者となったときは、再雇用等された元上司である中高年男性を部下としてマネジメントしなければならない。
上司と部下の関係が逆転することは、双方にとって仕事がやりづらいといった心理的ハードルをもたらす。加えて、新しいことへのチャレンジを元上司が過去の経験等をもとに批判を行うなど、非協力的な姿勢であれば、業務の生産性低下につながりかねない。
多くの企業がシニア社員のモチベーション低下や組織の新陳代謝などを今後の課題としてあげているが、年金受給開始年齢の引上げの必要性などから、70歳までの雇用確保措置が義務になる可能性はゼロではないだろう。
また、新型コロナウイルス感染症の発生をきっかけに、多くの企業がテレワークによる働き方を導入せざるをえない状況になった。テレワークによる生産性の状況や課題について、年齢別で比較をすると、年齢が若い世代ほど、生産性の向上にはつながっていると感じており、コミュニケーション上の課題も少ない。
一方、50代においては、コミュニケーションに加え、