『クリエイティブなマーケティング』
(藤平達之/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 現代ではあらゆる市場に多様で高スペックな製品が並び、デジタル化の進展に伴い、ビジネスの手法も高度化している。また、SNSなどの発展で口コミの影響が大きくなるなど、変数も多くなっている。このような中では差別化が難しく、特に製品・サービスのマーケティング、ブランディングの難易度が上がっていると言われる。

 これまでと同じ理論や手法が通用せず、変化への対応に苦戦しているマーケターも多い。そこで本書では、今の時代に必要な発想法として、パーパス・ジョブ・モーメントを組み合わせた「PJMメソッド」を提唱。PJMを経て「顧客体験(UX)」へと落とし込むこのアプローチは、机上の空論ではなく、著者自身が実務起点で開発したものだという。

 著者は博報堂及び博報堂グループのクリエイティブブティック「SIX」で戦略クリエイティブディレクター、UXデザイナーを務める人物。企業・サービスのブランディングやパーパス策定、DXなどの経営課題に取り組む経営層はもちろん、現場のマーケターの方にもぜひご一読いただきたい。

著者:藤平 達之(Tohei Tatsuyuki)
株式会社博報堂/株式会社SIX ストラテジック・クリエイティブ・ディレクター/UXデザイナー。1991年神奈川県生まれ。2013年博報堂入社。ブランドパーパスと生活者のインサイトの組み合わせから戦略を描き、ブランドを体現するコアアイデアを起点に、あらゆる領域で顧客体験を形にする。サービスやプロダクト開発の経験も多く、投資サービスやXRプラットフォーム、IoTプロダクトなどを担当。自身のアプローチを「PJMメソッド」 として体系化し、「ad:tech tokyo 2020」への登壇など、講演・寄稿も多数実施。これまでに、「2020 60th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS 総務大臣賞/ACCグランプリ」などを受賞。仕事中はフィナンシェと炭酸水が、仕事終わりはクラフトジンが相棒。
はじめに 難しい「けど楽しい」と思えるか
Part1 新しいマーケティングの兆し
Part2 P:パーパスを掲げる
Part3 J:ジョブを見抜く 
Part4 M:モーメントを絞る
Part5 UX:理想の顧客体験を描く
Part6 15のケースで知る PJMメソッド 
Part7 DXを加速させる PJMメソッド
おわりに 大切な人たちを幸せにできるか

要約ダイジェスト

すべてを「志」で貫く PJMメソッド

 日本では、長きに渡って、ブランド価値を高めるブランディングよりも「モノを売るためのマーケティング」が優先されてきたが、競争発想でのマーケティングは限界を迎えている。それは、「常にモノが欲しい生活者」が前提にある発想だからである。

 だが、肝心の生活者がモノを欲しくなくなり、企業同士の行き過ぎた競争についていけなくなってしまった。実際、調査(2018年 10月「生活者のマーケティング意識調査」博報堂実施)によれば、多くのカテゴリにおいて 80%以上の生活者が、今使っている製品の性能や効果に満足していることが分かっている。

 つまり、競争戦略に根ざしたマーケティングというのは、「生活者はずっとモノに興味がある(=欲しい)」「企業はモノを無限によくできる」という2つの理想の掛け算に基づいて駆動していたのだ。

 実態と乖離し始めているこの考え方をアップデートしなければならない。だが絞り込んだ消費者に広告メッセージを届けることに比べ、生活者/投資者に広くアプローチしてそのブランドらしい体験を作ることは、雲をつかむような規模だ。

 その判断軸になるものが、パーパス=ブランドの存在意義である。自分たちの存在意義が明快であれば、自ずとやることも明快になる。広く深い海にアプローチするからこそ、「志」を判断軸にする必要があるのだ。

 本書で紹介する PJMメソッドは、「パーパス・ジョブ・モーメント」を組み合わせて「顧客体験(ブランド体験)」を創造・変革するアプローチだ。フレームワークではなく、課題解決や機会発見のための「発想法」であり、ここから TVCMを作ることもあれば、採用制度を作ることも、プロダクトを作ることもある。以下詳しく見ていこう。

P:パーパスを掲げる

 パーパスは、多くの日本企業が「哲学」とか「理念」と呼んできたものと近い。今、多くのブランドが自分たちの存在意義を問い直し、明示することが求められている。PJMメソッドにおいては、パーパスとは次の4つの問いの答えであると定義している。

①このブランドは、「なぜこの社会に存在している」のか?
②このブランドは、

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