- 本書の概要
- 著者プロフィール
この意味での読解力は、著者が従事していた国際政治におけるインテリジェンス活動はもちろん、一般のビジネスパーソンでも公私ともに必要とされる力だ。そこで本書では、読解力を身につけるための方法、特に読書から読解力を磨くやり方を具体的に解説。著者がある中学校で行った特別講義も収録し、実践的な内容となっている。
著者は元外務省主任分析官。在ロシア日本大使館に勤務し、北方領土問題など対ロシア外交で活躍した人物。コロナ禍、国際紛争など、社会全体が大きな変化に直面している今、現状を正しく把握し、未来を正しく読み解くために、読解力やコミュニケーション力に自信がある方もぜひご一読いただきたい。
1960年東京都生まれ。作家。元外務省主任分析官。同志社大学神学部卒業。同大大学院神学研究科修了後、85年外務省に入省。英国の陸軍語学学校でロシア語を学び、在ロシア日本大使館に勤務。北方領土問題など対ロシア外交で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。09年、最高裁上告棄却。13年、執行猶予期間を満了し刑の言い渡しが効力を失う。著書に『国家の罠』(毎日出版文化賞特別賞)、『自壊する帝国』(大宅壮一ノンフィクション賞、新潮ドキュメント賞)など多数。
第2章 読解力とは行間を読む力
第3章 特別講義 小説を通して読解力を身につける
第4章 違和感を大事にする
第5章 未来を読み解く力
要約ダイジェスト
「読解力」とは何か
「読解力」とは、言葉通り解釈するならば、「読んで理解する力」「読み解くカ」ということになる。では、本をたくさん読んでいる人が、読解力が高いかというと、必ずしもそうではない。
インターネットを駆使してたくさん情報に触れている人が、読解力が高いか?これもまた、そうとは言えない。その典型的な例が、最近巷に増えている陰謀論や謀略史観であり、自分に都合のいいものだけを受け入れ、都合の悪い情報は捨ててしまう。
「読解力」とは、できる限り偏見なく情報を受け入れ、対象を認識し理解することだ。対象がテキストであれば文意を理解し、行間を読むことだし、人間であれば相手の主張や立場を理解し、相手の論理で考えるという「思考の幅」を持つことである。
いまの社会は、SNSが発達しコミュニケーションツールは非常に充実している。しかし SNSは人間関係を結びつけるところか、むしろ分断するツールになっている。日本は米国ほど深刻な分断が起きているわけではないが、日本の場合は、社会全体が一つのコンセンサスに基づいて一元化しがちだ。
いまや、社会の構造自体が「読解力」を妨げ、異質なものに対する耐性を失わせるようにできている。そのことを意識し、意図的に異質なものに対する耐性を高め、「読解力」を高めなければならないのだ。
「読解力」を高めるために一番手っ取り早く、