- 本書の概要
- 著者プロフィール
そうした閉塞感を突き破るものが「自考(じこう)」だ。それは、自分の頭で考えて、自分のやり方を見いだすことであり、新しいやり方を創り出し、新たな行動に移すことである。自分で考え、決断し、行動することは、自立した個人としての基本だが、日本では同調圧力なども強く、それは簡単なことではないという。
そこで本書では、約30年間、メディアの視点から日本を見つめてきた著者が「自考」のための様々なヒントを解説。著者はジャーナリストで、日本経済新聞記者などを経てテレビ朝日ニューヨーク支局長、アメリカ総局長などを歴任。考える力を鍛えたい方、自分や組織、日本社会をより良い方向に変えていきたいと考える方はぜひご一読いただきたい。
ジャーナリスト。1964年、群馬県高崎市生まれ。日本経済新聞記者を経て 1991年から共同通信記者。山口支局、大阪支社、経済部。阪神淡路大震災、大蔵省接待汚職事件、不良債権問題、金融危機など取材。2000年からテレビ朝日記者。経済部、外報部、災害放送担当(民放連災害放送専門部会委員)、福島原発事故担当、ANNスーパー Jチャンネル・プロデューサー、副編集長、記者コラム「報道ブーメラン」編集長、コメンテーター、ニューヨーク支局長、アメリカ総局長(テレビ朝日アメリカ取締役上級副社長)。トランプ氏が勝利した 2016年の米大統領選挙や激変するアメリカを取材。共著『自立のスタイルブック「豊かさ創世記」45人の物語』(共同通信社)など。
第2章 日本人に欠けていた自考
第3章 自考が「不可能」を「可能」にする
第4章 自己責任で情報と向き合う時代 自考で見極める
第5章 自考で決別する 古びた伝統・慣習・価値観
第6章 会社員よ公務員よ、立ち上がれ 自考で目覚める
第7章 アメリカ人のセンス 出る杭を育て、やり直すことを認める
第8章 世界で埋没する日本 自考で食い止める
要約ダイジェスト
自分の人生を取り戻す
夢をあきらめようとしている人。笑うことを忘れてしまった人。行き詰まってしまった人。学校や職場に行くのが何だかつらいなという人。日本の先行きに不安を抱いている人。絶望の淵にいる人──。こうした状況を反転させるためにやることは、「自考」だ。
自分の頭で考えて、自分にふさわしい、自分のやり方を、見いだすこと。自分の頭で考えて、新しいやり方を創り出し、新たな行動に移す行為を、「自考」と呼ぶ。この「自考」で、あなたの中の何かが変わる。
まず、あなたを追い詰めているモノサシ、価値観、慣習などを捨て去り、あなた自身をすっぱりと解放する。代わりに、自分の頭で考えた自分のモノサシ、価値観などで自分を守る。誰かが決めたものではなく、自分の頭で考えて決めたもので自分を守り、心地よい居場所を創るのだ。
自分の基準や価値観を「自考」で新たに見いだし、新しく創る。そして、他人が「自考」した基準や価値観をも受け入れる。自分を守ることができれば、他の大勢の人を守ることができる。社会を前に進め、未来を切り拓くために必要なのが「自考」だ。「自考」が広がれば、市民の平和的な「革命」に発展する可能性がある。
自分で考えて責任をとる
伝統、歴史、慣習、価値観、ルールなどは、いわば日本発展の原動力でもあった。だが、時代に合わない古びたものは新しいものに変えていかなければならない。そうしたものの中には、目に見えるものもあれば、目に見えず、心の中に忍び込んでいるものもある。
2013年夏、仕事でニューヨークに赴任した。そこで、ある光景に出くわした。赤信号の歩道を堂々と渡る歩行者たちの姿だ。ただ、よく見てみると、赤信号で渡る歩行者は、自分の目で左右の様子をよく見てから渡っている。
さらに、よく観察すると、