『トヨタのリーダーシップレッスン』
(ケイティ・アンダーソン/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 トヨタは高度経済成長期から、長らく日本を代表とする企業として経済をけん引してきた。トヨタの「カイゼン」やリーン生産方式といったオペレーションを解説する書籍は多いが、トヨタの強さは「人間性尊重」の企業文化に基づく人材育成にもある。本書は、トヨタの人材教育、特にリーダーシップ教育についてわかりやすく解説した一冊だ。

 本書では、40年以上をトヨタで過ごし、トヨタモーターセールス USA元副社長も務めた吉野勇夫氏が仕事で学んだ、リーダーやマネジャーとしてのあり方を、米国人リーダーシップ・コーチが体系的にまとめられている。一読すれば、トヨタの事業展開の歴史や印象的なエピソードから、その企業文化・リーダーシップ哲学の真髄が感じられるはずだ。

 著者は、リーダーシップ・コーチ、コンサルタントとして活動し、現在、サンフランシスコで、リーン・リーダーシップ、トヨタウェイと日本文化への知識を深めることを目的に、各界のリーダーたちのための日本研修旅行も主催。長期的視野を持った組織づくりやリーダーシップの根幹をしっかりと学びたい方はぜひご一読いただきたい。

著者:ケイティ・アンダーソン(Katie Anderson)
 カリフォルニア州出身。リーダーシップ・コーチ、コンサルタント。スタンフォード大学卒莱後、オーストラリアのシドニー大学で修士号を取得。2013年にコンサルティング事業を始め、あらゆるレベルのリーダーとさまざまな企業や団体を顧客に持つ。英国、オーストラリア、日本を含む米国以外の5カ国に住み、2015年には、家族と東京に引っ越し、18カ月の日本の滞在中に40年トヨタに勤めた吉野勇夫さんとプロフェッショナルな関係を培い、本書「トヨタのリーダーシップレッスン」を書き下ろした。現在、サンフランシスコで、リーン・リーダーシップ、トヨタウェイと日本の文化への知識を深めることを目的に、各界のリーダーたちのための日本研修旅行も主催する。

訳者:狩野 玲子(Kano Reiko)
 通訳翻訳会社(株)LMN代表。ボーイング社など米国優良企業と有名医療機関に通訳・コンサルティングを提供。専門分野は、異文化間コミュニケーション、トヨタ生産方式、医療機関のトヨタ式カイゼン活動など。著遡に「通訳だけが知っているトヨタ式が世界を制した本当の理由」(ぴあ)がある。

序 章 学び導き 導き学ぶ
第1章 学び導く―基本的なリーダーシップのためのレッスン
第2章 導き学ぶ―自分以外の人々の成長を助ける
第3章 失敗を振り返る―トヨタの水上スキーボードビジネス
終 章 振り返り前を向く

要約ダイジェスト

毎日、目的をいかなる方法でも伝える

 ほとんどの欧米の企業では、入社時の正式なオリエンテーションプログラムは、1週間以内だ。主に人事部のスタッフから、健康保険加入の方法や会社の内部のポリシーについて知るべき事柄が伝えられる。実際の仕事や会社の文化についての研修は、個々のマネジャーが必要に応じて行う。

 だがトヨタでは、欧米の企業と違ったアプローチを取っている。吉野さんが入社した 1966年頃のトヨタでは、大卒の新入社員オリエンテーションは、1カ月半の座学と2カ月半の現場体験からなっていた。

 トヨタの新人研修期間の長さを知ると、オフィスワークのために雇われた社員が現場で2カ月以上、何を学ぶのか疑問に思うかもしれない。答えは簡単で、トヨタでは文化を教えることには、時間を投資する価値があるとされているからだ。

 実体験をすることで、新人たちはトヨタの文化を理解し、それがその後の仕事の基礎となる。1人1人が、会社の目的にどう関わるべきかを、最初から教えられるのだ。

 トヨタは自動車会社であり、付加価値を生む仕事は製造現場にある。大卒社員の仕事は、間接部門で現場の仕事をサポートすることであり、自分たちがサポートする相手の仕事を理解すれば、より良いサポートができるようになる。

 トヨタの工場に入ると最初に目に入るのが、1953年以来のスローガン「良い品良い考え」と書かれたバナーだ。ロボット中心の全自動組み立てが進んでいる業種でも、

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