『「欲しい! 」はこうしてつくられる―脳科学者とマーケターが教える「買い物」の心理』
(マット・ジョンソンほか/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
「なぜファストフード店のロゴは赤と黄色なのか?」「なぜ去年買ったばかりの iPhoneを、今年も新調してしまうのか?」このような疑問を抱いたことはないだろうか。これらは人の行動心理に基づく企業のマーケティング戦略と強く結びついている。では具体的に、「欲しい」を誘導する仕組みとはどのようなものなのだろうか。

 本書では、「脳科学×マーケティング=ニューロマーケティング」の視点から、脳と消費の密接な関係を多数の事例を挙げながら解説。記憶と体験、快と不快、感情と論理、知覚と現実、注意、依存、共感など、神経科学的な観点から、様々なブランド・企業が行っている強力なマーケティング戦略を解き明かしている。

 本書はともに米国ハルト・インターナショナル・ビジネススクール教授で、認知心理学・神経科学の専門家とマーケティングの専門家の2名の研究を掛け合わせて書かれた共著である。消費者の心理や行動を理解したいマーケターだけでなく、知らぬ間に消費行動をコントロールされないための手引書として、一般の方にもぜひご一読いただきたい。

著者:マット・ジョンソン(Matt A.Johnson)
 脳科学者。ハルト・インターナショナル・ビジネススクール教授。作家、研究者、講演家としても活動する。プリンストン大学で認知心理学の博士号を取得。現在は、神経科学の視点から消費者体験や意思決定の理解を深めることを中心に研究を行っている。

プリンス・ギューマン(Prince Ghuman)
 マーケター。ハルト・インターナショナル・ビジネススクール教授。専門はニューロマーケティング。マット・ジョンソンとともにウェブサイト「ポップニューロ」を創設し、科学にもとづく消費者の理解の周知やニューロマーケティングの倫理的な活用を推進している。

訳者:花塚 恵(Hanatsuka Megumi)
 翻訳家。福井県福井市生まれ。英国サリー大学卒業。英語講師、企業内翻訳者を経て現職。主な訳書に『LEADER’S LANGUAGE』(東洋経済新報社)、『天才科学者はこう考える』(ダイヤモンド社)、『これからの生き方と働き方』(かんき出版)、『苦手な人を思い通りに動かす』(日経BP)などがある。

目に見えないものを見る力
第1章 あなたが食べているのはメニュー
第2章 アンカーを下ろす
第3章 瞬間をつくる
第4章 記憶をリミックスする
第5章 二つの意識
第6章 快-不快 =購入
第7章 依存2・0
第8章 人はなぜ特定の何かを好きになるのか
第9章 共感と人間どうしのつながり
第10章 あらゆるものの本質
第11章 ミドリミナル
第12章 マーケティングの未来

要約ダイジェスト

舌を騙すマーケティングのトリック

 2009年に行なわれた実験がある。目の前には、美味しそうなパテとなった肉料理が5皿並ぶ。いずれも丁寧に盛りつけられ、外国産のクラッカーが添えられている。見た目には同じように美しい料理を順に味見をしていく。

 そこへ司会者からこう告げられる。「それでは、5皿のうちのどれがドッグフードか当ててください」。実験の結果、ドッグフードを当てられた人は1人もいなかった。

 哲学者の故アラン・ワッツの言葉にあるように、「我々が食べているのはメニューであって食べ物ではない」。人はつねに一歩離れたところ、つまりは現実世界そのものではなく、自身の内側で語られる世界を体験しているのだ。

 神経科学では、その隔たりは知覚の可謬性(将来的に誤りが発見され、修正される可能性があること)を実証する証拠とされているが、マーケティングになると、その隔たりは機会となる。例えばレストランなら、提供する食事だけでなく、音楽や店内の装飾といったさまざまなことに配慮するという具合だ。

 脳は現実を直接的に体験することはない。その代わり、現実のモデルとなるものを構築する。それを神経科学の世界では「メンタルモデル」と呼ぶ。メンタルモデルは驚くほど影響を受けやすく、しかも影響を受ける可能性のある要素の数は膨大だ。

 メンタルモデルにはその人の思いが満ちあふれている。例えば「オーガニック」というラベル1つで、食べ物の味にバイアスがかかる。これは決して自分で自分を騙しているわけではなく、

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