『日本“式”経営の逆襲』
(岩尾俊兵/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 高度経済成長期からバブル崩壊を経て、日本企業からかつての勢いが失われて久しい。一方、「両利きの経営」「リーン・スタートアップ」「アジャイル開発」「オープン・イノベーション」など、アメリカ発の経営コンセプトが国内ビジネス界を席巻している。だが実はこうしたコンセプトの源流が日本企業にあることをご存じだろうか。

 本書では、トヨタ生産方式などに端を発する日本発の経営モデルをテーマにして、日本企業の強みや弱みを正しく把握し、安易な米国流経営モデル追随に陥ることなく、日本企業が再び世界で飛躍するための道筋を示す。一読すれば、イノベーション、ビジネスモデル、組織論などにおける経営のヒントが多数得られるはずだ。

 著者は生産管理およびオペレーションズ・マネジメントを専門領域とする気鋭の経営学者で慶應義塾大学商学部専任講師を務める人物。日本企業の将来に悲観的な思いを抱かれている方はもちろん、近年流行している経営コンセプトをより深く理解したいという方もぜひご一読いただきたい。

著者:岩尾 俊兵(Iwao Shunpei)
 慶應義塾大学商学部専任講師。平成元年佐賀県生まれ、慶應義塾大学商学部卒業、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了、東京大学大学院経済学研究科マネジメント専攻博士課程修了。 博士(経営学)。明治学院大学経済学部国際経営学科専任講師を経て現職。*東京大学で経営学博士号を取ったのは初。2020年、組織学会高宮賞受賞。
序 章 日本の経営をめぐる悲観論は正しいのか
第1章 逆輸入される日本の経営
第2章 実践一辺倒の日本、コンセプト化のアメリカ
第3章 経営技術をめぐるグローバル競争時代を生き抜くために
第4章 長年にわたる日本企業の強みもメイド・イン・アメリカに?
第5章 最新シミュレーションで日本の経営技術をよみがえらせる
第6章 コンセプト化とグローバル競争の先にある未来

要約ダイジェスト

「両利きの経営」ブームの源流はどこに

 近年、「両利きの経営」という概念が流行している。「両利き」とはAmbidexterityの日本語訳であり、経営におけるAmbidexterityとは、既存の技術や知識などの活用(深化・深耕)と探索であるとされる。

 ようするに既存のビジネスでしっかりと稼ぐことと、新しいビジネスを始めたりイノベーションを引き起こしたりすることとを両立する経営という意味である。

 ときどき「日本企業は両利きの経営ができないからダメなのだ」という言説がきかれる。
しかし、よく考えてみれば、既存の技術や知識の活用をしつつ、新しい技術や知識を探索したり、新しいビジネスを模索したりするのは日本企業の得意技ではないだろうか。

 例えば生産管理・品質管理分野でよく扱われるカイゼン活動を考えてみる。カイゼンは、普段の生産活動をおこなう中で、生産に関しての知識を蓄積し、さらにその知識に疑問を持つ機会を与えることで、生産やサービスのあり方を再考することを指す。

 既存の生産活動を実行しつつ、これを効率化させ、さらに工程や製品のイノベーションを起こす。これはまさに両利きの経営だ。このように主張すると、「カイゼンとイノベーションは違う」といった反応があるが、両利きの経営の生みの親であるオライリー教授とタッシュマン教授は、2013年に発表した論文において、トヨタ生産方式が両利きの経営の最も分かりやすい例だと述べているのである。

リーン・スタートアップとリーン思考

 リーン・スタートアップとは、とりあえず作ってみて、市場の反応をみて、学習するというプロセスを高速で回していく起業方法のことである。2011年にエリック・リース氏によって提唱され、『The Lean Startup』は世界中でベストセラーになった。

 現代のスタートアップ企業は、

続きを読むには会員登録が必要です。

© 2022 ZENBOOKS,Inc. All Rights Reserved.
要約記事は出版社または著作者から適法に許諾を取得し、作成・掲載しています。本記事の知的所有権は株式会社ゼンブックスに帰属し、本記事を無断で複製、配布、譲渡することは固く禁じます

特集