『新消費~デジタルが実現する新時代の価値創造~』
(藤井直毅/著)

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 いまやアメリカと比肩する IT大国となった中国。その消費トレンドを指す「新消費」という言葉がある。デジタル化やコロナ禍によって、消費への価値観と手段が大きく変化している現在、オンライン化のみならず OMO(Online Merges Offline)といった方向に、売り手側はスピーディーに対応していかなければならない。

 本書では、新消費の具体的な傾向を解説するとともに、EC、リアル店舗、KOL(インフルエンサー)、MCN(KOL育成組織)、メーカーのそれぞれについて、中国での代表的事例を通じて変化を分析する。企業やサービスの最新事例を多数提示するだけでなく、適宜アメリカや日本の事例が引き合いに出され、イメージしやすい内容となっている。

 著者は電通マクギャリーボウエン・チャイナ Group Account Directerで、投資ファンドから消費財まで幅広いクライアントへのマーケティング支援に携わり、近年は中国現地でのマーケティング支援に注力する人物。中国ビジネスや ECの先進事例を知りたい方やアフターコロナのマーケティングを考えたい方はぜひご一読いただきたい。

著者:藤井 直毅(Fujii Naoki)
 電通マクギャリーボウエン・チャイナ Group Account Director。早稲田大学在学中から欧米系PR会社に勤務。投資ファンドから消費財まで幅広いクライアントに対する広報コンサルティングを中心としたコミュニケーション&マーケティング支援に携わる。クラシック音楽事務所にて海外市場を含む新ビジネス開拓、ファンドレイズなどに携わった後、広告業界へ。PRとデジタルを出発としながらマス広告や事業開発の経験も持つ統合型のマーケッター/プランナーとして、メディアや人々のインサイトを捉えた「拡がる」キャンペーン・ビジネスを様々な立場で仕掛けてきた。特に日本からのアウトバウンドマーケティングや新規事業開発など既存の知識や経験をそのまま展開できない分野に強みを発揮する。
 近年は中国現地でのマーケティング支援に注力しており、2021年より二度目の中国生活として北京に居を移す。「日経ビジネス」電子版、「東洋経済オンライン」などに寄稿多数。
第1章 EC:「情報の時代」における価値の転換
第2章 店舗:ECと共存するのか、競争か
第3章 KOL:1,000万人インフルエンサーが狙う巨大消費市場
第4章 MCN:EC関与で地位を高める新世代芸能事務所
第5章 メーカー:価値を生み出す新時代のモノづくり

要約ダイジェスト

EC:「情報の時代」における価値の転換

 近年よく語られる「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の多くは、実態としては ITシステムの導入により手作業を減らすことに代表される、言ってみれば「デジタル的な手段を用いたプロセスの効率化」であることが多い。これは本来「デジタル化」と呼ぶのが正確で、発想としては工業の時代の延長線上でしかない。

 粛々と行うべきこうした効率化だけでなく、我々はデジタルを使った非連続的な「トランスフォーメーション(変革)」を起こす必要がある。その概念はとっくの昔に示され、隣の中国では試行錯誤の末にかたちになりつつある。

 2021年、中国では「EC化率 50%」が達成されようとしている。単純比較はできないまでも、日本は EC率 6.8%とはるかに及ばないのが現状だ。

 日本で話題になる ECプレイヤーは、とかくアリババとその系列ばかりという印象だ。アリババ系の EC全体に占めるシェア割合は半数近く、飛びぬけて高いことは事実だが、その一方で、様々な特色ある他プレイヤーも日本では考えられない売上をたたき出して生き残っている。

 全商品カテゴリ・地域制覇を狙う王者に対するその他チャレンジャーの戦い方としてポピュラーなのが、一点突破の局地的ゲリラ戦だ。中国 EC市場におけるその典型例が、後発ながら「安さ」にすべてを投入することで爆発的に伸びた拼多多(ピンドゥオドゥオ)である。

 2015年と ECとしてはかなり遅い時期に創業された同社は、すでに大勢は決したと言われた ECのシェア争いの中に突然現れ、飛び抜けた速度で成長している。

 その原動力は、①「安さ」という力強い機能的価値の競争軸への集中、②既存大手が相対的に手薄な三級都市以下という地理的空白への集中、③ゲーム性を取り入れることで情緒的価値を創出、という3点で説明できる。

 拼多多の戦略が優れていたのは、この3要素がバラバラではなく、

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