- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書では、GAFAMの企業文化や構造を紐解き、彼らのエンジニア思考の本質に迫る。本書の特長は、5社を並列的に解説するわけではない点だ。Google、Amazon、Facebookの強さの源泉を語りながら、Appleについては衰退の兆候を、Microsoftについては再生の軌跡と要因を企業文化と照らし合わせて詳細に考察している。
著者は「バズフィード・ニュース」のシニアレポーターで、GAFAMに関するニュースレターとポッドキャスト「Big Technology」の創始者でもある人物。IT系企業関係者のみならず、GAFAMの成功法則や企業文化を学びたい方、会社に変革をもたらしたいと考えている方にぜひご一読いただきたい。
「バズフィード・ニュース」のテクノロジー担当シニアレポーター。その記事は「ウォール・ストリート・ジャーナル」をはじめ、ニューヨーカーやスポーツ・イラストレイテッドなど主要な雑誌、オンラインメディアで数多く引用されている実績がある。また、Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftに関するニュースレターとポッドキャスト「Big Technology」の創始者でもある。コーネル大学産業・労働関係学部卒業。サンフランシスコ在住。
訳者:小川 彩子(Ogawa Ayako)
翻訳家。学習院大学大学院人文科学研究科哲学専攻博士後期課程単位取得退学。主な訳書に『ICEMAN 病気にならない体のつくりかた』『ハーバード集中力革命』(いずれも、サンマーク出版)、『世界の名画 1000の偉業』(共訳、二玄社)、『電子メールプロトコル詳説』(ピアソンエデュケーション)などがある。そのほか技術文書の翻訳にも携わっている。
第2章 マーク・ザッカーバーグのフィードバックの文化を探る
第3章 サンダー・ピチャイのコラボレーションの文化を探る
第4章 ティム・クックとアップルへの懸念
第5章 サティア・ナデラとマイクロソフトの再生
終 章 未来のリーダー像
要約ダイジェスト
アマゾンの変革の文化
アマゾンでは、ジェフ・ベゾスが変革を社内に行き渡らせて、アマゾン GOなどの新しい実験的企画の創造を会社のビジネスの中心にすえている。アマゾンに属するすべての人はヒエラルキーの最上層から最下層に至るまで、誰もがアイデアを出せる。そしてベゾスはできる限りすべてを自動化することで、変革の余地をさらに増やす。
ベゾスの仕事は、ただ創意工夫をうながすことだけではない。アイデアが大量に生まれるような仕組みをつくり、一度採用したアイデアに対しては成功に向けてあらゆるチャンスを与えてきた。
現在、アマゾン内のすべての新プロジェクトはパワーポイントではなく、文書で始まる。これらの文書は、未来を舞台に提案する製品がどんなものかについて、まだ誰も何もしていないうちに事細かに説明するもので、「6ページ文書」と呼ばれる。6ページ文書を書くのは SF小説を書くのに似ていると、ある元アマゾニアン(アマゾンで働く人々)は言った。
アマゾンでの会議は沈黙で始まる。15分から1時間ほど、室内の全員が黙って文書を読み、それが終わると全員から容赦ない質問が浴びせられる。6ページ文書が承認されると、提案者に予算が与えられ、人員を集めて、描いた夢を形づくることになる。
そして、変革をうながすために、6ページ文書を書いた本人をそのアイデアを実現するための責任者にする。これが重要だ。変革は「考えること」と「実践すること」が相まって起こるからだ。つまり、6ページ文書はアマゾン内部の変革を民主化するものなのだ。
またアマゾンでは、より創造的な仕事をする自由を従業員に与えるために、できる限りあらゆるものを自動化しようとする。ある日やっていた仕事が次の日にはコンピューターやロボットに置きかえられても不思議ではない。アマゾンは従業員に何が起こるかを知らせて、新しい仕事に就くためのトレーニングを提供している。
変化のただなかで、アマゾンにはひとつ変わらないものがある。変革への決意だ。多くの労働を自動化することで、オフィス職員は変革のプロセスに集中できる。ベゾスの変革の文化のなかで生きることで、彼らは技術を活用して創造的になることを学んだのだ。
現在の社会には、技術志向の人間は創造的に考えず、創造的な人間は技術的に考えないという思い込みがある。しかしアマゾンでは、ベゾスが両者を統合する方法を教えてくれる。彼に後押しされてアマゾニアンは未来を想像し、