『日本史に学ぶ リーダーが嫌になった時に読む本』
(加来耕三/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 時代は「昭和」から「平成」、そして「令和」へと移り、その間ビジネス環境はもちろん、教育制度も家庭環境も大きく変わった。その結果、いわゆる「昭和」的な率先垂範タイプのカリスマ型リーダーは少なくなり、共感や傾聴を軸にするサーバント型リーダーシップなど、リーダーシップの在り方にも変化が見られるようだ。

 そこで本書では、日本史上に名を遺す武将や偉人の様々なリーダーのエピソードから、「令和」型のリーダーシップのヒントを探る。ピンチの際の考え方、トラブル対処法、コミュニケーション、部下のマネジメントなど、実は日本史は、一般的にイメージされる勇猛さや威厳あふれるリーダー像とは異なる様々なリーダーシップ類型の宝庫なのだ。

 著者は大学・企業の講師をつとめながら、独自の史観にもとづく著作活動を行っている歴史家・作家。現在リーダーという立場で日々困難に立ち向かっている方はもちろん、自身のリーダーとしての適正に悩んでいる方などもぜひご一読いただきたい。歴史の裏付けによって、自信を持ってリーダーシップに向き合えようになるはずだ。

著者:加来 耕三(Kaku Kozo)
 歴史家・作家。1958年大阪市生まれ。奈良大学文学部史学科卒業後、同大学文学部研究員を経て、現在は大学・企業の講師をつとめながら、独自の史観にもとづく著作活動を行っている。内外情勢調査会講師。中小企業大学校講師。政経懇話会講師。主な著書に『日本史に学ぶ一流の気くばり』『日本史に学ぶ成功者たちの勉強法』『「気」の使い方』『歴史の失敗学』『渋沢栄一と明治の起業家たちに学ぶ危機突破力』など多数。テレビ・ラジオの番組の監修・出演も多い。
第1章 リーダーが嫌になった時の考え方
第2章 トラブルがつづいた時の対処法
第3章 コミュニケーションの取り方を変えてみる
第4章 部下のマネジメントに悩んだ時は…
第5章 責任の取り方、引き際の決め方
第6章 自分との向き合い方

要約ダイジェスト

迷ったら逃げよう

 リーダーたるもの逃げてはいけない、正面からぶつかるべきだ、と思い込んでいる人は今なお多い。しかし、日本の歴史上、逃げずに立ち向かったばかりに、大きな痛手を被った先例、玉砕してしまった悪例は、それこそいくらでもある。

 恥ずかしいと思うかもしれませんが、逃げることを戦略の一つとして、リーダーはつねに考えておくべきだ。例えば、戦国の覇王・織田信長に攻めるイメージしかない、という方がいるかもしれないが、状況次第ではためらいなく逃げる判断もしている。

「金ヶ崎の退き口」といわれる戦いでは、浅井・朝倉の連合軍に挟み撃ちにされ、信長は袋のネズミで“絶体絶命”だった。ほとんどの人間は、そこまで追い詰められたならば、武士らしく潔く討ち死にしようと思うもの。だが、信長はさっさと逃げ出した。

 挟み撃ちされたのが自分の領地であれば、逃げたら連合軍に、領地を侵略されることになる。しかし、戦場の越前は敵国であり、逃げ切れれば、連合軍はそれ以上、領地を広げることはできない。要は再戦して、勝てばいいのだ。実際、2カ月後の6月には、姉川の戦いで浅井・朝倉の連合軍にリベンジを果たした。

 一方、信長のように逃げなかった中国の秦末期の武将・項羽は天下を取ることができなかった。四面を敵に囲まれながらも逃げ切れたのに、わが身を翻して敵陣に突撃し、討ち死にを選んだのだ。多くの同胞を死なせてしまった以上、どのツラ下げて故郷に戻れようか、と項羽は考え直したのだ。

 だが彼は戦いを「点」でしかとらえていなかった。「線」でとらえて、

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