『東京藝大美術学部 究極の思考』
(増村岳史/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 近年、ビジネス環境の不確実性が増し、データ分析やロジカルシンキングの限界が指摘されている。そうしたトレンドのなかで、アーティストやデザイナーの考え方をビジネスに取り入れようとする思考法である「デザイン思考」や「アート思考」、そして MFA(美術学修士)取得などが注目を集めている。

 そこで本書では、「芸術界の東大」とも呼ばれ、日本で唯一の芸術系国立大学である東京藝術大学(藝大)美術学部の学生、OBたちへの取材から、藝大における教育内容や、より生々しいアーティストの思考法に迫る。一読すれば「問い」をつくる力や観察力、具象と抽象を行き来する思考など、ビジネスにも役立つヒントが多く得られるだろう。

 著者はアート・アンド・ロジック株式会社取締役社長。代々のアート家系に育ち、リクルートなどを経て、誰もが短期間で絵が描けるプログラムを開発、企業向けにアートやデザインを通して新たな知覚と気づきを提供する人物。直観や感性を磨きたい方はもちろん、アートや美術に対する見識を広めたい方もぜひご一読いただきたい。

著者:増村 岳史(Masumura Takeshi)
 アート・アンド・ロジック株式会社 取締役社長。学習院大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。マーケティング・営業を経て映画・音楽の製作および出版事業を経験。リクルート退社後、音楽配信事業に携わったのち、テレビ局や出版社とのコンテンツ事業の共同開発に従事する。2015年、アートと人々との垣根を越えるべく誰もが驚異的に短期間で絵が描けるプログラムを開発、企業向けにアートやデザインを通して脳を活性化し、新たな知覚と気づきの扉を開くアート・アンド・ロジック株式会社を立ち上げ、現在に至る。代々のアート家系で、人間国宝・増村氏の血筋。著書に『ビジネスの限界はアートで超えろ!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。
序章 偏差値教育を「越境」した人たちが集まる唯一無二の大学
第1章 究極の思考力入試
第2章 何を教わり、何を学ぶのか
第3章 「学び」と「気づき」をビジネスに活かす卒業生たち
第4章 これからは「アートフルな人材」が日本を引っ張っていく

要約ダイジェスト

アートを学ぶことは「自分ごと化」を突き詰めること

 ここ数年、デザイナーやアーティストが持つ思考の方法や体系をビジネスの分野でも活かしていこうと、さまざまな団体・機関・法人がデザイン思考やアート思考といったものを取り入れようとしている。

 この流れから最近、ビジネスパーソンの中でも美術系の大学院に入学し、MFA(美術学修士)の取得を目指している方々も増えている。話を聞いてみると、ロジカルシンキングを軸とした「課題解決のみの世界」に行き詰まりを感じている人々が多いようだ。

 実際にアート作品を日々制作し続けているアーティストたちは日々、自身の内から湧き上がる「純粋なる衝動」によって作品を作り続けている。彼らの究極の目標は、今までにない表現を発明することにある。

 過去の偉大なアーティストたちは、自分の内側を見つめ、新たな表現の発明をし続けてきた。例えばピカソは抽象画(キュビズム)を発明し、ダリはシュールレアリズム(現実を超えた超現実)を発明した。

 アーティストたちは、全身全霊ですべてを「自分ごと」として捉え、日々、制作活動という“仕事”をしている。彼らが作品を制作するプロセスは、おおよそ以下のとおりだ。

①作品のビジョン・アイデアが浮かぶ
②具現化するために思考を巡らせ、必要とあらば、さまざまな取材(リサーチ)をする
③作品制作をし、自己の表現をする
④作品展示をするためにさまざまな人々と協働する

 ここで重要なのは、「どう描くか」ではなく、「何を描く(表現する)のか」。つまり、ビジョンを実現させるための「本質的な思考力」が、最終的に作品としてアウトプット化するのだ。

対策の立てようがない超難関入試

 東京藝大の油絵科(正式名称:絵画科油画専攻)は常に 17~20倍、

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