- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書では「アメーバ経営」「フィロソフィ」「知的ハードワーキング」「井戸掘り経営」など、2人の経営哲学や経営手法、リーダーシップの特徴とその共通点を明らかにする。欧米型の経営管理手法と比較することで、その経営手法がアフターコロナを生き抜く“古くて新しい”経営モデルであることが浮かび上がってくる。
著者は三菱商事やマッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、一橋大学ビジネススクール国際企業戦略専攻客員教授、京都先端科学大学客員教授。ファーストリテイリングや味の素などの社外取締役を兼任しながら、30社近くの日本企業の次世代リーダーを交えた CSV フォーラムも主宰。企業経営に携わる方はぜひご一読いただきたい。
一橋大学ビジネススクール国際企業戦略専攻客員教授。京都先端科学大学客員教授。東京大学法学部卒業、ハーバード・ビジネススクール修士(ベーカースカラー授与)。三菱商事(東京、ニューヨーク)に約10年間勤務。2010年まで、マッキンゼー・アンド・カンパニーのディレクターとして、約20年間コンサルティングに従事。自動車・製造業分野におけるアジア地域ヘッド、ハイテク・通信分野における日本支社ヘッドを歴任。日本、アジア、アメリカなどを舞台に、多様な業界において、次世代成長戦略、全社構造改革などのプロジェクトに幅広く従事。2010年6月に一橋大学大学院特任教授に就任。同校においては、「問題解決」「イノベーション戦略」「デジタルトランスフォーメーション戦略」「コーポレートガバナンス」などを担当。
2014年より、30社近くの日本企業の次世代リーダーを交えたCSV フォーラムを主宰。デンソー(2019年6月まで)、ファーストリテイリング、味の素、NEC キャピタルソリューション、SOMPO ホールディングス(いずれも現在も)の社外取締役を兼任。
主な著書に『学習優位の経営』(ダイヤモンド社、2010年)『「失われた20年の勝ち組企業」100社の成功法則』(PHP 研究所、2013年)『CSV 経営戦略』(東洋経済新報社、2015年)『成長企業の法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2016年)『コンサルを超える 問題解決と価値創造の全技法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2018年)『企業変革の教科書』(東洋経済新報社、2018年)『経営改革大全』(日本経済新聞出版、2020年)『パーパス経営』(東洋経済新報社、2021年)などがある。
第1章 リーダーの条件
第2章 リーダーの軌跡
第3章 リーダーの素顔
第Ⅱ部 「盛守」経営の解明
第4章 アメーバ経営の本質
第5章 永守戦略の神髄
第6章 「盛守」モデルの共通点
第7章 大義と大志 Mindfulness
第8章 経営の押さええどころ Objective-driven, Results-oriented
第9章 魂を揺さぶる Inspire!
終 章 「盛守」経営の未来
要約ダイジェスト
2人のリーダー
現代日本を代表する経営者、稲盛和夫と永守重信。稲盛は、京セラ、第二電電(KDDIの前身企業の1つ)の創業者でもあり、かつ JALの再生劇をリードした伝説の経営者だ。さらにはこれらの企業との関係を超え、その経営哲学や人生哲学は広く知れ渡っている。
一方の永守重信は、現代のカリスマ経営者の名をほしいままにしている。1973年に創業した日本電産は、過去 50年間で最も成長した日本企業である。圧巻は、60を超える国内外の M&Aをすべて成功させたことだ。「死に体」だった企業を、人員整理を一切せずに1年で再生させる手腕は「永守マジック」と呼ばれている。
2人とも、京都をホームベースとしつつグローバルに活躍していること、B2B企業として世界トップシェア事業を数多くもっていること、未来創造に向けて自社にとどまらず幅広く種まきをしてきたことなど、数々の共通点がある。
また、2人とも思いを「言語化」するパワーが抜群で、自分ならではの言葉で生き生きと表現することに長けている。だから人の心を揺さぶる。これは、松下幸之助、スティーブ・ジョブズ、柳井正など、古今東西を問わず名経営者に共通の才能でもある。
稲盛と永守はこの言語化力を、独自の経営哲学と経営手法に結実させている。稲盛の場合は「フィロソフィ」と「アメーバ経営」。永守の場合は「3大精神」と「3大経営手法」だ。本書では、これら両者の経営モデルを「盛守経営」と呼ぶ。
盛守経営には3つの共通点がある。第1に、「志(パーパス)」から出発していること。稲盛はこれを大義と呼び、永守は夢(ドリーム)と呼ぶ。第2に、30年先、50年先といった長期目標を立てるとともに、短期的に結果を出すことにこだわり続けること。
第3に、人の心に火をつけること。稲盛は能力を未来進行形でとらえよと語り、永守はIQより EQが大切と説く。そして2人が異口同音に強調するのが、