『アーノルド・ベネットの賢者の習慣』
(アーノルド・ベネット/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 自己啓発書、すなわち人生における成功や幸福について書かれた書籍のなかでも良書が多いのが、いわゆる古典である。長く読み継がれてきた古典的名著には、時代にとらわれない普遍的な教えが豊富に含まれているからだ。イギリスの大作家による自己啓発書である本書もまた、そうした名著の一冊として 100年以上読み継がれてきた。

 内容は世界中の一流人がヒントにしてきた「知的生活の習慣」ともいうべきもので、生き方や読書術、文章術、真の教養の身に着け方など幅広く、「頭は肉体よりはるかに鍛えがいがある」「思索をすればするほど幸福になれる」「『今』というかけがいのない時を味わい尽くす」など、現代のビジネスパーソンでも実践できるものばかりである。

 これらを才能や意志の力だけでなく、習慣を変えてゆくことで実現しようとしたところに、著者の慧眼がある。著者アーノルド・ベネットは田舎町から身を立て、後にイギリスが生んだ「20世紀最大の小説家」と称せられた人物。物質的な成功や成長だけでなく、精神的にも充実した幸福な人生を求める方はぜひご一読いただきたい。

著者:アーノルド・ベネット(Arnold Bennett)
 イギリスを代表する作家。本書『アーノルド・ベネットの賢者の習慣』は、ベネット流の自己研鑽法、人生を豊かにする読書術、自己実現法などを解き明かした珠玉の1冊。その他の代表作に、20世紀イギリス小説の最高傑作と名高い『二人の女の物語』(岩波書店)、また自己修養、知的鍛錬の方法をまとめた啓発書として定評のあるベストセラー『自分の時間』、『人生をもっと賢く生きる 頭の鍛え方』(三笠書房)などがある。

訳者:渡部昇一(Watanabe Shoichi)
 上智大学名誉教授。英語学者。深い学識と鋭い論評で知られる。著書に『知的生活の方法』(講談社)他多数。また、訳書として本書をはじめ、『自分の時間』(アーノルド・ベネット)、『自分を鍛える!』(ジョン・トッド)、『歴史の終わり』(フランシス・フクヤマ)、『「頭のいい人」はシンプルに生きる』(ウェイン・W・ダイアー、いずれも三笠書房)などがある。

下谷和幸(Shimotani Kazuyuki)
 上智大学大学院文学研究科修了、東邦大学教授、明治大学教授を経て2019年より明治大学名誉教授。著書に『マニエリスム芸術の世界』(講談社)、『18世紀英国テイスト論研究』(篠崎書林)など、訳書に『若い人たちへの人生アドバイス』(W.コベット、三笠書房)その他がある。

第1章 頭は肉体より、はるかに鍛えがいがある
第2章 自分の“強み”を存分に生かせる生き方
第3章 人生をますます豊かにする読書法
第4章 自分を磨き上げる文章術
第5章 一日一日を完全燃焼して生きる!

要約ダイジェスト

頭は肉体より鍛えがいがある

 人間の体は変調をきたしやすいが、鍛錬すればすぐに体調を保てるようになる。一方で、頭の調子を一定に保つというのは、それにもましていっそう難しい。しかし、体調以上に鍛錬の効果は顕著に現れる。

 われわれは、ほとんど誰もが、自分の頭脳はたるんだ状態にあると感じているのではないか。知識を豊かにし、趣味を洗練させて、自分自身を、そして自分の人生をより豊かなものにしたいと願いながら、人々がそうしないのは、知識欲がないためではない。

 それはまず第1に、意志の力──事を始めるための意志の力ではなく、継続して行おうとする意志の力がないためである。第2に、頭脳の諸器官がまったくなおざりにしておかれたために、すっかり錆びついて調子が悪くなっているためである。

 したがって、改善点は2点ある。意志の力を養うことと、頭脳の諸器官をよい調子に戻すことである。しかも、これらは並行して行われる必要がある。例えば、立派な詩や散文を暗誦することほど、頭の体操になるものはない。半年間、1週間に 20行暗誦するだけで、不活発な頭脳のすばらしい治療となる。

 頭の体操として暗誦がいちばんメリットがあるのは、いやが応でも、集中力を要求されるという点である。そして、自己啓発をする際にあらかじめ備えておくべきもっとも重要な能力は、精神を集中させる能力である。

 また、頭を効率的に働かせるべく真剣に努力しようというのなら、ものを書く訓練というのは、是が非でもやらなければならないことの一つだ。文を作り、その努力を継続するならば、書く内容はなんであってもよいと思う。

 ただし、日記は、最小限の知的努力しか払わずに書かれがちだから、同じ日々の記録という点では、日誌のほうがよい。日記はもっぱら自分自身の事柄や自分のしたことを取り上げるのに対して、日誌のほうは、広範な人生の諸相を書き記すものである。

 日記や日誌をつけるのがいやなら、読んだ書物についての簡単な覚え書きをするのもよい。また、自分自身が特別に感銘を受けた文章を集めた文集を作るのもよいだろう。

 いずれにしても、書くということによってはじめて思考が働くのである。頭脳の効率的な働きというのは、

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