- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書では、ストレスとの向き合い方だけでなく、ストレスを「ダークストレス」と「ブライトストレス」に分け、ストレスのポジティブな側面にもスポットライトを当てる。神経科学や心理学の知見をもとに、ストレス反応のメカニズムが詳しく述べられており、起こった現象だけでなく、仕組みからストレスを理解することができるのが特徴だ。
著者は、神経科学の理論を実際の教育やビジネス現場と関連付けて研修や講演を行う応用神経科学者。ストレスに対処するためのエクササイズが随所に組み込まれ、すぐに実践出来る内容となっている。ストレスの解消法を学びたい方はもちろん、ストレスを武器に成長していきたい方、脳や心の仕組みを理解したい方もぜひご一読いただきたい。
応用神経科学者。株式会社DAncing Einsteinの代表。小中高は野球漬け。高校は中退。しかし、脳の不思議さに誘引され米国UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の神経科学学部を飛び級卒業。神経科学を心理学や教育学などとコネクトし、人の理解を深め、その理論を応用、また実際の教育現場や企業とコネクトし、人の成長やWell-beingのヒントを与えられたらと、2014年にDAncing Einsteinを創設。対象は、未就学児童から大手企業役員まで多様。空間デザイン、アート、健康、スポーツ、文化づくりと、神経科学の知見を応用し、垣根を超えた活動を展開している。
また、AI技術も駆使し、NeuroEdTechR/NeuroHRTechRという新分野も開拓。同分野にて、いくつもの特許を保有する「ニューロベース発明家」の顔ももつ。近年では、海外や国連関連のイベントでの講演活動に加え、大手企業やNPO、教育機関と連携、提携し、新しい学び方、生き方、文化づくりに携わる。
著書に『BRAIN DRIVEN パフォーマンスが高まる脳の状態とは』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『4 Focus 脳が冴えわたる4つの集中』(KADOKAWA)がある。
序章 ストレスと向き合うということ——限られた人生、何を脳に刻み込んでいきたいのか
1章 ストレスを知る——なぜ私たちにストレスシステムが搭載されたのか
2章 ダークストレスを和らげる——脳や身体がもつ性質を科学的に利用する
3章 ブライトストレスを味方につける——ストレスエネルギーを最大限に生かし、成長を加速させる
4章 ストレスを武器にした「進化し続ける脳」とは?——ストレスを力に変えて成長する4つの脳
要約ダイジェスト
「内側」の世界に注意を向け、ストレスと向き合う
私たちは生活している時間の多くを「外側」の世界に費やしている。朝起きてから夜寝るまで、対人関係や仕事や勉強で「外側」の情報に触れ、そうでない時間もパソコンやスマートフォンなどの「外側」の刺激物に注意が向けられている。
だが、幸せの反応は私たちの「内側」で起きている。「内側」の自分の幸せ反応という情報に注意を向けることができなければ、幸せを感じることすらできないのだ。
ストレスも、まさに私たちの「内側」で繰り広げられるものだ。ストレスとうまくつき合っていくためには、当然、「外側」の世界だけに囚われるのではなく、「内側」の世界、すなわち自己と対話していく必要がある。
私たちの注意の向け方のもう1つの特徴が、ネガティブなものに注意が向きやすいということだ。これは人類が進化していくうえで、非常に大切な機能だった。自己の脳にない情報、例えば未知の動植物などは死に直結する可能性があったため、脳から警戒アラートを出す必要があったからだ。
このような注意の特徴を、ネガティビティバイアスと呼ぶ。ネガティビティバイアスはなくすことはできないし、現代においても大切な機能だ。ただし、少し意識的にポジティブなサイドにも注意対象を傾ける心がけが必要になってくる。
ネガティビティバイアスとうまくつき合っていくためには、最初は「日常や自然から、ささやかなポジティブな側面を見出し、少し時間をとって味わう」ことをしてみよう。
スマートフォンなどのわかりやすく強い刺激でしかポジティブな情動を感じることができないのでは、幸せの表面積を減らす。「内側」の幸せの反応に気づきやすくするためには、