『世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない』
(フランク・マルテラ/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 多くの人は人生に意味や目的を求め、幸福になることをゴールにしている。しかし、忙しい日々を過ごす現代人にとって、改めて「生きる意味」や「幸福」とは何かを考えることは少ない。しかも、幸福になりたいと思えば思うほど、その実現が遠のいてしまうことも多い。本書は、そんな哲学的な問題を正しく考えるための思考法を提示する一冊だ。

 本書では、「生きる意味」という壮大な問いに対し、西洋哲学の系譜をたどりつつも専門用語を使わず、科学的な研究成果や平易な事例を挙げて考察していく。著者によれば、人間は宇宙規模で見ると取るに足らない存在であり、幸福な人生を送るためには「普遍的な意味」と「個人的な意味」を分けて考えることが重要だ。

 著者は国連「幸福度ランキング」の1位常連国であるフィンランド出身の哲学者・心理学研究者。「人生の意味」の問題を専門とし、学術論文発表の傍ら、ハーバード・ビジネス・レビュー等一般紙にも寄稿。人生の意味やウェルビーイングについて考えたい方はもちろん、良好な人間関係を築きたいすべての方にぜひご一読いただきたい。

著者:フランク・マルテラ(Frank Martela)
 フィンランド出身。気鋭の若手哲学者、心理学研究者。哲学と組織研究の2つの博士号を持ち、「人生の意味」の問題を専門とする。タンペレ大学で福祉心理学の教鞭を執りつつ、アアルト大学を拠点に活動。学際的なアプローチを行い、多分野の学術誌で精力的に論文を発表する傍ら、ハーバード・ビジネス・レビュー等の一般誌にも寄稿。また、ニューヨーク・タイムズ等のメディア露出や、スタンフォード、ハーバードなど世界の大学での招待講演など、活躍の場は幅広い。プライベートでは3児の父。

訳者:夏目 大(Natsume Dai)
 大阪府生まれ。同志社大学文学部卒業。SEとして勤務したのち翻訳家に。主な訳書に、ディディエローラン『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』、レナード『ゴビ 僕と125キロを走った、奇跡の犬』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、ゴドフリー=スミス『タコの心身問題─頭足類から考える意識の起源』(みすず書房)、グリック『タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る』(柏書房)、『エルヴィス・コステロ自伝』(亜紀書房)など。

目次
はじめに
第1部 人間はなぜ人生に意味を求めるのか
 第1章 人生の不条理
 第2章 宇宙的には取るに足りない偶然の産物
 第3章 「幸福」という悲しき人生の目標
 第4章 あなたの人生にはすでに意味がある
第2部 人生の意味とは──新時代の視点
 第5章 存在の意味を問うのは現代人である証拠
 第6章 ロマン主義
 第7章 普遍的な人生の意味と個人的な人生の意味
 第8章 自分の価値体系を作る
第3部 より意味深い人生のために
 第9章 人間関係への投資
 第10章 他人を助けることが自分を助ける
 第11章 あなたがあなたであるために
 第12章 持てる能力を発揮する
エピローグ

要約ダイジェスト

人間はなぜ、人生に意味を求めるのか

 あなたの人生を作るのは、あなた自身だ。誰もが自分の人生にかなりの投資をしているだろう。だが、時折、この広大な宇宙にとっては自分の存在や人生など、ちっぽけなものだと気づかされることもある。

 人生は価値あるものだと思いながらも、同時に自分の人生など無価値でバカげたものではないかと感じている。誰しもそういう大きな矛盾を抱えながら生きているのではないだろうか。特に、社会や家族など、他者から与えられる枠組みを失ったとき──価値あるものとは何かを教えてくれる枠組みを失ったとき、人は大いに戸惑うことになる。

 幸福度や生活の満足度などについて国際的な調査をすると、豊かな国の人たちほど、貧しい国の人たちに比べて幸福度も生活の満足度も高いという結果が得られるのが常である。

 ところが、「あなたは自分の人生に重要な目的や意味があると感じていますか」という質問への答えに関しては、これとは逆の傾向が見られた。世界中の人の 91%がこの質問には「ある」と答えたが、イギリス、デンマーク、フランス、日本といった豊かな国では、「ない」と答える人が比較的多かった。

 一方、ラオス、セネガル、シエラレオネといった貧しい国では、ほぼすべての人が、人生には目的や意味があると答えたのだ。そして、人生に目的がないとみなす人の多い豊かな国では、自殺率も高い。

 人生は無意味だと思い至るまでには、3つの段階を経る。まず(1)自分の存在がちっぽけだと知る。そして、(2)自分の存在が永遠でないことを知る。最後に、(3)どのような価値も目的も人間が気まぐれに考えたもので、普遍的なものなど1つもないと悟る。

 特に物事が順調に運んでいるときには、自分の存在に対する疑いを抑制することはたやすい。だが人間関係や健康、仕事に大きな問題が生じたとき、人間はどうしても、何か確かなものの助けを借りたくなる。しかし、

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