『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』
(飯田結太/著)

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  • 目次
 コロナ禍でオンライン購買比率が上がる一方で、苦戦を強いられているリアル店舗は多い。この消費者行動の変化は以前から続くトレンドであり、今後、企業ではこれまで以上に実店舗の存在意義が問われるはずだ。だが、そうした中でも売上を伸ばし続けているリアル店舗の一つが、浅草かっぱ橋商店街にある料理道具専門店「飯田屋」だ。

 飯田屋ではノルマや売上目標がなく、在庫回転率は無視、1点から仕入れる、値切り交渉には応じないなど、小売業として常識はずれの営業方針を取っている。それでも、日本各地や海外からも顧客がやってくるという。本書は、飯田屋がこの時代に選ばれる経営の秘訣と、本当に大切にすべき商売の本質を店主自らが解説した一冊だ。

 著者は、創業 100年を超える飯田屋の6代目店主で、料理道具の伝道師としてメディア露出も多い人物。著者自身が今の価値観にたどり着いた軌跡を振り返るとともに、失敗談も赤裸々に語られている。中小零細企業における売上減少や人材不足などの悩みを抱える方はもちろん、今後のリアル店舗の可能性を探りたい方はぜひご一読いただきたい。

著者:飯田結太(Iida Yuta)
 株式会社飯田代表取締役社長。大正元年(1912年)に東京・かっぱ橋で創業の老舗料理道具専門店「飯田屋」6代目。料理道具をこよなく愛する料理道具の申し子。TBS「マツコの知らない世界」や NHK「あさイチ」、日本テレビ「ヒルナンデス!」など多数のメディアで料理道具の魅力を伝える料理道具の伝道師としても活躍。自身が仕入れを行う道具は必ず前もって使ってみるという絶対的なポリシーを持ち、日々世界中の料理人を喜ばせるために活動している。監修書に『人生が変わる料理道具』(枻出版社)。2018年、東京商工会議所「第16回 勇気ある経営大賞」優秀賞受賞。
はじめに 僕の人生を変えたシンプルな常識
第1章 経営者失格、後継者落第
第2章 いい会社ってなんだろう?
第3章 過剰在庫バンザイ!
第4章 非効率バンザイ!
第5章 実店舗バンザイ!
第6章 やめることを決めると、やることが定まる

要約ダイジェスト

記憶に残る幕の内弁当はない

 飯田屋の創業は大正元年の 1912年。東京の浅草と上野の中間に位置する、世界最大級の飲食店用品問屋街「かっぱ橋道具街」にある小さな料理道具専門店だ。

 飯田屋へ入社する前、僕は大学2年生のときに起業したウェブサイト制作会社の仕事に熱心に取り組んでいた。やりがいを感じ、依頼も少しずつ増えはじめていたある日、夜遅く帰宅すると、いつまでも明かりが灯る店内で懸命に働く母の背中が見えた。

 そのころの飯田屋はいつもお客様の姿が少なく、従業員の入れ替わりも激しく、いつも人手不足に苦しんでいた。母の泣き言を一度も聞いた記憶がないが、目の前にある背中はとても苦しんでいるように見えた。「…飯田屋に入社させてください」。こうして僕は飯田屋で働きはじめた。

 僕が入社したころには飲食店の道具ならなんでもある店になっていた。コンビニよりひと回り小さい店には、社員食堂や学校給食で使われるメラミン食器やお盆、メニュー帳、白衣、コーヒーチケット、「営業中」や「準備中」と書かれた看板など、飲食店で使われるさまざまな道具が所狭しとばかりに並んでいた。

 しかし、店頭で聞こえてくるのは、耳を疑うような言葉ばかりだった。「欲しいものがない」「ここ何屋なの?」「何を買ったらいいのかわかんない」。お客様が口にする想像もしなかった言葉に、

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