『渋沢栄一と安岡正篤で読み解く論語』
(安岡定子/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 2021年現在、大河ドラマの主人公となったこともあり、「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一への注目が高まっている。その渋沢栄一が生涯座右の書として愛読したのが古典中の古典「論語」であり、論語には、今も変わらぬ人間関係や政治・経済活動の普遍的な原理原則が示されている。

 本書では、渋沢栄一が論語を解説した著書『論語講義』と、渋沢同様論語を愛読し、多くの政治家・財界人の指南役をつとめた漢学者・安岡正篤の著書『論語の活学』を読み解き、人生や経営に活きる論語の教えを解説。二人の生き様や論語とのかかわり方に加え、渋沢・安岡両氏の論語章句の解説などを、初学者にもわかりやすく説いている。

 著者は安岡正篤の孫で公益財団法人 郷学研修所・安岡正篤記念館理事長を務め、全国で『論語』を講義する安岡定子氏。一読すれば、『論語』が人生訓としてだけでなく、今なおビジネスやリーダーの指針として大いに愛読されている理由が理解できるはずだ。混迷する時代にも変わらぬ行動指針を求める方はぜひご一読いただきたい。

著者:安岡 定子(Yasuoka Sadako)
 公益財団法人 郷学研修所・安岡正篤記念館理事長。1960年東京都生まれ。二松学舎大学文学部中国文学科卒業。陽明学者・安岡正篤の孫。現在、「斯文会・湯島聖堂こども論語塾」「伝通院寺子屋論語塾」等、都内の講座以外に宮崎県都城市、京都府京都市、神奈川県鎌倉市など全国各地の定例講座は 20講座以上に及び、幼い子どもたちやその保護者に『論語』を講義している。また企業やビジネスパーソン向けのセミナーや講演活動も行っている。『新版 素顔の安岡正篤』『壁を乗り越える論語塾』(共にPHP研究所)、『心を育てるこども論語塾』田部井文雄共著『仕事と人生に効く成果を出す人の実践・論語塾』(共にポプラ社)、『はじめての論語』(講談社+α新書)等、多数の著書がある。
第1章 渋沢栄一と安岡正篤と私
第2章 『論語』は最高の「人生の指南書」
第3章 ビジネスの教科書とした渋沢栄一
第4章 人材育成の要諦とした安岡正篤
第5章 2人の達人による『論語』の名講義
第6章 特別対談 埼玉に縁のある二人の巨人に学ぶ

要約ダイジェスト

『論語』には人生の全ての答えがある

『論語』には、個人として精神を養って人間性を高めていくと同時に、組織の中で仕事をしたり、何らかの役割を担うことで社会的に有用な人物になる、その2つの効用が説かれている。そして、地に足が着いた判断、身の処し方の原理原則がたくさん示されている。

 渋沢栄一は、『論語』は最も欠点の少ない教訓と言い、漢学者・安岡正篤は『論語』には人生万象の全ての答えがあると言った。渋沢栄一も、安岡正篤も、孔子の教えを生きるための規範として、的確な判断や行動のための揺るぎない軸として活用した点は共通する。

 孔子について、渋沢栄一は「平凡人のすべてのことに通じて、かつ傑出している」と言って、『論語』を単なる修身の教科書ではなく、事業や人間関係の課題を解決するための指針として愛読した。

 安岡正篤は、孔子を「最も偉大な人間通である」と語り、「人間学」を追求するための、また、よき指導者のあり方を研究する参考書として常に座右に置いていた。二人はそれぞれ自分の言葉で章句の解説を試みて、その効用を多くの人々に伝えようとした。以下、いくつかの章句を二人がどのように読み解いたかをご紹介したい。

毎日自分の行動を反省する習慣の効用

曽子曰(いわ)く、吾日に吾が身を三省す。人の為ために謀(はか)りて忠ならざるか。朋友と交わりて信ならざるか。習わざるを伝えしか。《学而一》

(曽子が言った。「私は日に何度も自分の行いを省かえりみている。人の相談相手になって、真ま心ごころを尽くしていなかったのではないか。友人と付き合って嘘をつかなかったか。自分が十分にまだ理解できていないことを、人に伝えたり、教えたりしてしまっていなかったか」)

 これは孔子の弟子、曽子の言葉で、「忠」は己の誠を尽くすこと、「信」は言葉に偽りがないことだ。人から相談を受けたとき、

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