『築地本願寺の経営学―ビジネスマン僧侶にまなぶ常識を超えるマーケティング』(安永雄彦/著)

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 東京・築地にある築地本願寺は400年以上の歴史を持つ古刹だが、近年大々的なリブランディング、組織変革に取り組んでいるのをご存じだろうか。その大変革を推進しているのが、銀行員出身で経営コンサルティング会社を経営していた著者の安永雄彦氏だ。本書では、保守的な仏教界の常識を覆す施策を次々実行する著者がその内幕を語る。

 同寺のリブランディングは 10年計画で進められ、境内のリニューアルやカフェの開設から、MBO(目標管理制度)といった人材マネジメントにまで及ぶものだ。一読すれば、企業変革への示唆が数多く得られるはずだ。また随所で解説される仏教の知恵や異色の経歴を持つ著者の仕事・キャリア観も、キャリアや人生を考える上で役立つだろう。

 著者は三和銀行(現三菱 UFJ銀行)、外資系大手エグゼクティブ・サーチ会社ラッセル・レイノルズ、島本パートナーズの代表取締役社長を経て、2015年7月より築地本願寺代表役員・宗務長に就任。旧態依然とした組織の変革に挑む経営層やリーダー層、組織マネジメントに携わる方はぜひご一読いただきたい。

著者:安永 雄彦(Yasunaga Yuhiko)
 築地本願寺代表役員・宗務長。1954年生まれ。東京都出身。開成高校、慶應義塾大学経済学部卒業。ケンブリッジ大学大学院博士課程修了(経営学専攻)。三和銀行(現三菱UFJ銀行)に21年間勤務。大手鉄道会社において新規事業の企画開発に従事する一方、ITを活用した消費者金融会社の設立、開業を財務・人事管理部門のヘッドとして担当。外資系大手エグゼクティブ・サーチ会社(ラッセル・レイノルズ)を経て独立、島本パートナーズの代表取締役社長として経営幹部人材のサーチ・コンサルティング業務に従事、企業経営者や大手企業幹部向けのエグゼクティブ・コーチング活動を展開。
 2015年7月、築地本願寺代表役員・宗務長に就任。僧侶組織のトップとして法務に従事するとともに、寺院の運営管理や首都圏での個人を対象にした新しいかたちの伝道布教活動を企画推進中。
第1章 新たな時代に変わらない価値をつくる——築地本願寺のサバイバル戦略
第2章 開かれたお寺の「顧客創造」——築地本願寺のリブランディング
第3章 お寺は「人生のコンシェルジュ」——顧客とつながるマーケティング
第4章 目標を共有できる仕組みをつくる——人材マネジメントとリーダーシップ
第5章 なぜ働くのか、なぜ生きるのか——ビジネスマン僧侶のキャリアのつくり方、考え方
終 章 なぜ「新たな時代」に仏教が必要なのか——死を恐れず、「一日一生」を生きる

要約ダイジェスト

築地本願寺、400年後のリニューアルオープン

 2012年春。浄土真宗本願寺派は大きな組織改革を行った。会社組織にたとえれば、それまで本山本願寺(西本願寺)の東京支店的存在だった築地本願寺は、いわば東京本部もしくは子会社(直轄寺院)として位置づけられた。

 どんな企業も、時代の変化とともに変わらなければ生き残れない。それは寺院にしても同じだ。だからこそまったくの異分子である私を京都の西本願寺を本山とする浄土真宗本願寺派の議決機関である常務委員にし、さらには築地本願寺の“社外取締役”たる評議員に迎え入れたのだろう。

「どう考えても寺は衰退産業です。その証拠に築地本願寺の参拝者数は減り続け、経常収支の赤字が出ている。すぐに対策を講じる必要があります」、それまで経験してきたビジネスの視点で寺院を見れば、早急に改革すべき点は次々と見つかった。

 ところが古参の僧侶たちは「築地本願寺創建以来、400年もなんとかなってきたのですから大丈夫ですよ。赤字何億って安永さん、そもそもお寺は会社じゃありません」と泰然と微笑む。

 ただ、私があまりにも強硬に主張したためか、「そこまで言うなら案を出してください」となり、これを受けて築地本願寺にプロジェクトチームが結成された。そして作成されたのが、「首都圏伝道推進基本計画」、つまり築地本願寺の経営大改革案だ。10年間で 40億円を投じて築地本願寺を大改革し、

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