『鈍感になる練習』
(齋藤 孝/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 繊細さや敏感な気質は洞察力や危機管理能力の高さにつながるが、それが過剰になると、小さなことを気にしすぎたり、神経が過敏になってしまい疲弊してしまうこともある。そうした人間関係や仕事でのストレスをためこまないために重要なのが、日常のちょっとした習慣や考え方だ。それは「鈍感力」とも言い換えることもできる。

 そこで本書では、仏教や心理学、約 30年間、大学教員として学生たちと接する中で体得した、「気にしない」「考えすぎない」鈍感力を高めるトレーニングを解説。具体的には、すぐに実践できる口癖や呼吸法などの身体的な動作や考え方を紹介し、気にしすぎないことを「心の習慣」として身につけていくものだ。

 著者は明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論で、『声に出して読みたい日本語』などベストセラー多数。TVでのコメンテーターなどとしても活躍する人物。仕事やプライベートでのネガティブな感情やモチベーションのコントロールに興味関心がある方はぜひご一読いただきたい。

著者:齋藤 孝(Saito Takashi)
 1960年静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒。同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(草思社)で毎日出版文化賞特別賞を受賞、シリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)などベストセラー多数。著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。コメンテーターとしてもテレビ出演多数。
序章 「気にしすぎ」「考えすぎ」で悩んでいる!?
1章 「繊細」で「敏感」な人が困っていること
2章 「鈍感力」を上げれば、ラクに生きられる
3章 鈍感になる練習1 「いい人」をやめて、「あまり気の回らない人」を心がける
4章 鈍感になる練習2 不安や心配ごとは、現実には起こらない
5章 鈍感になる練習3 ムリに反応しない、比べない、引きずられない
6章 鈍感になる練習4 自分がやらなくても、他力本願でうまくいく
7章 鈍感になる練習5 成功か失敗か、損か得かでクヨクヨしない
8章 鈍感になる練習6 完璧・理想を捨てて、自分にがっかりしない

要約ダイジェスト

気にしすぎない練習をする

 世の中には繊細で敏感すぎる人、過敏症といわれる人がいる。最近では、HSP(Highly Sensitive Person)とも呼ばれ、生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質を持った人」で、統計的には5人に1人があてはまるという。

 これは文明化社会にとっては、当然のことかもしれない。世の中がどんどん清潔になり、どんどんマナーもよくなっているので、不潔さやマナーが悪い人と相対するのが耐えられないのだ。

 敏感すぎる人は「もっと大雑把に生きてみたい」「細かいことを気にしないで、生きられたら、どんなにラクだろう」と思うはずだ。そのために、チャレンジする価値があるのが、「鈍感になることを習慣化する」ことだ。

 いわば「心の習慣」に「鈍感力」を加える。つまり「気にしすぎない練習」である。それは「身体的な動作」や「つぶやき」、あるいは「考え方」であったりするが、それらを総合的に組み合わせながら「気にしすぎない練習」をするのだ。

 この「心の習慣」を身につけていかないと、神経がどんどん過敏になり、いろいろなことが気になって手につかなくなってくる。あるいはイヤなことを拡大して考えてしまい、世の中全体がイヤに感じられてしまう。

 その際、心をいきなり整理するのではなく、まず頭を整理すると心が整理される。そこで押さえておきたいのは、頭の整理をするのは「理性」であるということ。この「理性の力」を発揮するのと同時に、「身体の訓練」、「技」を身につけること。「理性」と「身体」。この2つの力で、ざわめきがちな心をコントロールしていこう。

相手が不機嫌そうなら、気づかないふりをする

 身近な人が不機嫌そうなとき、それが自分のせいかどうかはわからない。そうしたときには、少し放っておくのが順当な対処法だ。不機嫌な相手に取り入って「どうしたの、大丈夫」と言い続けていると、そのうち自分が疲れて、その人のことを嫌いになりかねない。

 これは仏教でいう「執着から離れる」ことだ。ある人に対応しなきゃ対応しなきやと思うと、気疲れしてしまうので、どこかでスイッチを切るのだ。つまり「心を鈍感にする練習」だが、鈍感になりきれない人は、気づいても気づかなかったふりをするのがポイントだ。気づいたのは仕方ないが、それをなかったことにしで事を進めるのだ。

 TBSの安住紳一郎アナウンサーに聞いたのだが、安住アナは初対面の人と話をするときに、様子見をしないようにしているという。「相手は自分のことをどう思っているんだろう」と互いに探り合っていると、変な空気になってぎこちない感じになることがある。

 それなら初めて会う人とは挨拶を交わして、さっと本題に入り、明るく会話したほうが、すっきりとした出会いになるのだ。実はこのような思い切りにはある程度の鈍感さが必要で、人間関係をつくるのがうまい人は、ちょっとした強引さ、鈍感さを持っている人とも言えるのだ。

時間の早回しで忘れる練習

 過去は思い出であって、変えることができない。もし変えることができるとすれば、①解釈によって意味を変える、②記憶を薄れさせる、という2つの方法がある。

 解釈で意味を変えていくとは、あの失恋があったから別の交際ができている、教訓として恋愛に悩まされなくなったなど、評価や解釈を変えることだ。すると、過去を後悔するのではなく、解釈し直して新しい世界に入ることができるようになる。

 具体的には、

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