- 本書の概要
- 著者プロフィール
そこで本書では「脳」「胃・腸」「肝臓」の3エリアにおける不調の原因と回復方法を各分野の専門医に取材、医学的に正しい知識をベースに、多忙なビジネスパーソンでも実践できるコンディショニング方法を解説する。一読すれば、睡眠、食事などの日常生活レベルから、自分の体の内側に対する意識変わってくるはずだ。
著者はプロボディデザイナー/ZERO GYMエグゼクティブプログラムディレクターの松尾伊津香氏、監修は株式会社ウェルネス 代表取締役/総合内科医の中田航太郎氏が務めている。ストレスがたまっている、疲れや眠気が取れないがケアする時間がない、といった悩みがある方はぜひご一読いただきたい。
プロボディデザイナー/ZERO GYMエグゼクティブプログラムディレクター福岡県出身。関西学院大学卒。大学で心理学・精神医学を専攻し、その知識を深めるためアメリカに留学。帰国後、ヨガ・瞑想インストラクター、ダイエットジムReborn myself(旧Shapes)六本木本店 店長・スーパーバイザー等を経て、2017年、疲労回復専用ジム「ZERO GYM(ゼロジム)」を立ち上げる。独自の視点から、マインドフルネスや瞑想、食事、フィットネスを掛け合わせて、「食事瞑想R」「疲労回復プログラム」などを開発。著書に『一生太らない魔法の食欲鎮静術』『超疲労回復』等。2019年にはNHK WORLD JAPAN「Medical Frontiers」に出演し、世界160の国と地域にヨガとマインドフルネスイーティング(食事瞑想)を伝授。
監修:中田航太郎(Nakada Kotaro)
株式会社ウェルネス 代表取締役/総合内科医。東京医科歯科大学医学部卒業後、都内病院にて総合内科医として診療に従事。早稲田大学文学学術院でマインドフルネスと脳の可塑性に関する研究も行う。日本を支えるビジネスパーソンが日々の業務に忙殺され、病気が進行した状態で病院を訪れていることに危機感を感じ、予防のための「パーソナルドクター」を提供する株式会社ウェルネスを創業し、同社代表取締役に就任。「病気になる前に適切なリテラシーに基づいて疾病リスクを軽減し、健康に人生を過ごせる世界」を実現すべく活動。
第1章 脳と疲労―「疲れ」をつかさどる内臓
第2章 脳疲労対策
第3章 胃腸と疲労―ストレスがモロに出る内臓
第4章 胃腸疲労対策
第5章 肝臓と疲労―沈黙ゆえに怖い内臓
第6章 肝臓疲労対策
第7章 疲労の正体―体という組織のあり方を見直す
第8章 疲労対策の共通ルール
要約ダイジェスト
疲労の正体は「体がサビること」
疲労とは、体が発する「休め」のサインであり、「心身に負荷がかかりすぎていて、このままだと壊れてしまうので、いったん活動を休止してください」という警告だ。
このとき、私たちの体内では何が起こっているのだろうか。東京慈恵会医科大学の中田浩二先生によれば、かつては「乳酸」が筋肉に溜まることで疲労を感じると考えられていたが、現在ではこの説は否定されつつある。
近年の研究によって、疲労を感じるとき、体内には「疲労因子(FF:Fatigue Factor)」というタンパク質が発生していることがわかってきた。この情報が脳に伝わることで、私たちは疲労を感じると考えられているのだ。
この疲労因子が発生してしまう原因は、ストレス反応だ。ストレスというと「精神的ストレス」をイメージするが、そればかりではない。紫外線や大気汚染、ウイルス、薬、気温や騒音、睡眠や運動不足、食生活の乱れなど、さまざまなダメージが「ストレス」だ。
人間が何かしらのストレスを受けているとき、体内には「活性酸素」という物質が発生する。この活性酸素は全身の細胞を攻撃し、傷つけてしまうのが、このとき疲労因子が発生するのだ。
活性酸素は、文字通り活性化した酸素のことで、通常、その力で体内に侵入した細菌やウイルスなどの外敵を攻撃し、体を守ってくれているが、大量に発生しすぎると、外敵ばかりでなく本来守るべき細胞までも傷つけてしまうのだ。
化学では、酸素が他の物質と反応することで「酸化」が起こる。そして金属が酸素と反応して「酸化」すればサビる。たとえると、「体の酸化」とは「体がサビる」現象と言えるのだ。
究極にして唯一の疲労回復法
実は、疲労因子が体内で増加すると、「疲労回復因子(FR:Fatigue Recovery Factor)」というタンパク質も出現してくることがわかっている。疲労回復因子は、文字通り疲労因子によって傷ついた細胞の修復を促してくれるものだ。
日中、仕事をしたり、スマホを眺めたりと何らかの活動をしている限り、疲労因子は増え続ける。しかし、眠っている間は人間の活動が停止されるので、疲労因子の増加が抑制され、