- 本書の概要
- 著者プロフィール
例えば同校では「生き抜く力」を育むことをミッションとし、「哲学」を必修科目にしている。また、オンライン教育の弱みだとされてきた社会性や情操教育、活発な学校コミュニティー構築の仕組みもつくりあげた。本書では、これらの取り組みの具体的な実践例などを挙げながら、未来型の教育手法を解説する。
著者はスタンフォード大学・オンラインハイスクール校長、哲学博士。スタンフォード大学哲学博士を修了後、オンラインハイスクールの立ち上げに関わり、2016年に校長に就任。EdTechコンサルタントとしても活躍する人物。世界最先端の教育現場を知りたい方
対象年代を問わず人材育成・教育手法に関心がある方は、ぜひご一読いただきたい。
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長/哲学博士/EdTechコンサルタント
1977年東京生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。その後渡米し、Texas A&M大学哲学修士、スタンフォード大学哲学博士を修了。同大学哲学部の講師として教鞭をとりながらオンラインハイスクールのスタートアップに参加。2016年より校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて教育及び教育関連テクノロジー(EdTech)のコンサルティングにも取り組む。全米や世界各地で教育に関する講演を多数行う。著書に『スタンフォード式生き抜く力』(ダイヤモンド社)がある。
序章 その教え方が子どもをダメにする─恐ろしい8つの常識
1章 学校の定番をとっぱらう
2章 なぜオンライン学校が全米トップになれたのか?
3章 スタンフォード大学で実現した「生き抜く力」の育て方
4章 子どもの才能の伸ばし方─8つの正解TIPS
5章 世界の教育メジャートレンド
6章 教育のミライ
要約ダイジェスト
オンラインなのに全米トップの進学校
私はスタンフォード大学・オンラインハイスクールで校長をしている。有名 IT企業の本拠地が軒を連ねるシリコンバレーベイエリアの真ん中にあるスタンフォード大学で、最先端の教育とテクノロジーと取っ組み合いながら、世界各国の才能あふれる子どもたちの学びをサポートするのが私の仕事だ。
スタンフォード大学・オンラインハイスクールは設立 15年ほどの学校だが、2020年3月には、ニューズウィーク「STEM教育に力を入れる高校ランキング 2020」で全米3位、Nicheという学校ランキングでは、2020年にアメリカの進学校で1位に輝いた。
2000年代から、大学や社会人教育を中心に、オンライン教育が爆発的な広がりを見せたが、すぐに修了率の低さが問題視されるようになった。また、社会性や感情の学習をサポートすることができないとして、中高生向け教育への応用に懐疑的な視線が向けられた。そうした状況で、高校創立当初から強い逆風に煽られながら、学校づくりをしていった。
まずは何より先に、最重要プライオリティーに、子どもたちが社会で「生き抜く力」を育むことを目標に設定。その上で、生徒たちが豊かな関係性の中で学んでいけるように、オンラインでのコミュニティーづくりを学校デザインの中心に据えた。
そして、「講義ベースの授業」「学年」「カリキュラム」「時間割」「放課後」「テスト」「順位付け・偏差値」など、これまであった「学校の定番」といえるような仕組みも、必要なかぎりどんどん見直していった。
「哲学」でゲームチェンジャーを育てる
さらに、卒業必修科目に「哲学」を設定したことも、子どもたちがこれからの世界を「生き抜く力」を育む教育と深く関連している。中等教育でさまざまな分野の知識に触れ、その中で既存の知識や枠組みに適応することはいうまでもなく重要だ。
しかし、