『いかなる時代環境でも利益を出す仕組み』
(大山健太郎/著)

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  • 目次
 2020年のコロナショックは、多くの企業に大打撃を与えた。だがその中でも、業績を伸ばしている企業の一つが、アイリスオーヤマだ。コロナ禍においてもグループ売上を前期より 2000億円上乗せする見込みで、見事にピンチをチャンスに変えている。本書では、同社を 56年間率いた大山健太郎氏(現会長)が、その経営の秘訣を明かす。

 著者は 19歳で父から会社を引き継ぎ、生活用品メーカーから LED照明・家電メーカーに業容を拡大させた。アイリスオーヤマでは、「設備稼働率を7割にとどめる」「予算の概念をもたない」「製品開発社員が損益管理を担う」「伴走型開発」「プレゼン会議」など、これまでの経営手法とは一線を画すような独自の仕組みが多数導入されている。

 これらは第一次オイルショックで倒産しかけた苦い経験から生まれ、磨き上げられていった仕組みだという。その結果、同社は「ピンチをチャンスにする」のではなく、「ピンチが必ずチャンスになる」経営を実現しているのだ。環境変化に強い事業や経営を目指す方、経営のモデルチェンジを迫られている経営層はぜひご一読いただきたい。

著者:大山 健太郎(Oyama Kentaro)
 アイリスオーヤマ会長。1945年生まれ。大阪で父親が経営していたプラスチック加工の大山ブロー工業所(1991年にアイリスオーヤマに社名変更)を、父の死に伴って1964年、19歳で引き継ぐ。経営者を56年間と長きにわたり務め、生活用品メーカーからLED照明・家電メーカーに業容拡大。藍綬褒章受章(2009年5月)、旭日重光章受章(2017年11月)。2018年会長就任。
序章 効率偏重経営の終わり
1章 製品開発力 売れる製品を最速で大量に生む仕組み
2章 市場創造力 流通を主導し、顧客と結びつく仕組み
3章 瞬発対応力 急な外的変化を成長に取り込む仕組み
4章 組織活性力 仕事の属人化を徹底的に排する仕組み
5章 利益管理力 高速のPDCAで赤字製品を潰す仕組み
6章 仕組みの横展開
7章 ニューノーマル時代の経営

要約ダイジェスト

なぜ、マスクの大量供給ができたのか

 アイリスオーヤマの業績は、園芸用品、LED照明、収納家具、調理器具、各種家電など、ホームセンター向けの売上が前期より2ケタ伸びている。国内のネット通販事業は前期の2倍、海外でのネット通販は日本以上に好調だ。2020年 12月期のグループ売上高は、前期比 40%増の約 7000億円を見込んでいる。

 普通の会社は1割増し、2割増しの急な出荷増には対応できても、5割増しの注文には、工場や物流がパンクしてすぐには出荷できない。しかし、生産体制に余裕があるアイリスなら大丈夫だ。アイリスでは、あらゆる設備の稼働率を7割以下にとどめ、注文が増えて7割を超えるようになったら、工場を増床するか、新たに建てるようにしている。

 具体的な需要があって増やすわけではないから、普段はただの予備スペースだが、何かの需要が急に出現したときに瞬時に増産できる。他社とは瞬発力が違うのだ。コロナ下で、マスクの大増産ができた理由もそれだ。

 もともと中国の大連と蘇州でマスクを作っており、それを中国国内、そして日本にも出荷していた。このうち、蘇州工場の工場床面積を 2019年初頭に 3.5倍に拡大。これは「稼働率7割」のルールに沿ったもので、コロナを見越したのではない。その余裕があったから、コロナのまん延後、中国政府の要請に応じて大量にマスクを供給できた。

 2011年の東日本大震災の後には、アイリスが LED照明を一気に拡販した。あのとき私は震災発生の2週間後に大連に飛び、現地の工場で大増産を指示した。

 それができたのもマスク同様、工場のスペースに余裕を持たせていたからだ。結果、大手家電メーカーを抜き去り、LED電球で国内トップシェアになった。これは「ピンチをチャンスにする経営」ではなく、「ピンチが必ずチャンスになる経営」の結果である。

最初からそのような経営ができていたわけではない。2020年で創業して 62年だが、最初の環境変化は 1973年の第一次オイルショックだった。オイルショックのリバウンドで私は会社を潰しかけた。あんな経験は二度としたくないと思い、どんな環境でも利益の出せる仕組みを確立すると誓ったのだ。

フォーカスするのは「買う人」か「使う人」か

 顧客に必要とされる製品やサービスを継続的に送り出すことが、いかなる時代環境でも利益を出すための第一歩だ。売れる製品をたくさん出していれば、

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