- 本書の概要
- 著者プロフィール
では 30年後の東京はどんな都市になっているのか。本書では、不動産の専門家である著者が、東京の各エリアの街並みや資産価値といった現在の風景から 2050年のリアルな東京の姿、不動産市場を予測する。そこで描かれるのは、タワーマンションの老朽化や空き家問題などを乗り越え、ポジティブな「ハレの場」として機能する東京である。
著者は1980年代後半からマンションの広告制作や販売戦略立案などを手掛け、現在は住宅ジャーナリストとして活躍する人物。東京で暮らしている方はもちろん、直近のコロナ禍でライフスタイルを考え直したい方、地方創生や不動産投資などに興味関心がある方も興味深く読めるはずだ。
住宅ジャーナリスト。1962年京都府生まれ。同志社大学法学部および慶應義塾大学文学部卒業。1980年代後半からマンションの広告制作や販売戦略立案などを手がける。現在は、一般ユーザーを対象にした住宅購入セミナーを開催するほか、新聞や雑誌などに多くの記事を執筆。著書に『年収200万円からのマイホーム戦略』(WAVE出版)、『マンション格差』(講談社現代新書)、『2025年東京不動産大暴落』(イースト新書)など多数。
第一章 1960年からの成長期、1990年からの成熟期
第二章 これから 30年で東京の風景はどう変わるか
第三章 不動産は 2050年に向かってどう動くか
第四章 東京は「ハレ」の場所として輝く
第五章 インバウンドを魅了する東京
要約ダイジェスト
これから 30年で東京の風景はどう変わるか
この 30年で、東京の外形的な都市風景はあまり変わったとは思わない。確かに、建物はどんどん新しくなっている。超高層建築も増えた。特にタワマン(タワーマンション)と呼ばれる 20階以上の超高層マンションは、それこそ雨後の筍のごとく林立した。
しかし、基本的には街の風景が見違えるように変わったとは思えない。古いビルが新しく建て替わり、背丈がだいぶ伸びた程度にしか変わっていない街が多いようだ。
東京の交通インフラの中心である地下鉄も同様だ。実のところ、東京の地下鉄は 1990年時点でほぼ完成状態にあった。残されていた数少ない「陸の孤島」を救済するために作られたのが、東京メトロの南北線であり、都営地下鉄の大江戸線であった。
道路は少しずつ変わってきているが、この 30年の間に新しい自動車専用道が敷設されたのは、ほとんどが郊外エリアである。代表的なものは東京外環道路などだ。
東京という街のハードは、1990年時点である程度完成していた。そこから 2020年までの 30年は、足りない部分を補完しながら、老朽化した建物をスクラップ&ビルドしてきた、というところではなかっただろうか。
そのうえで 2050年の東京は、2020年の東京と比べて「ほぼ完全に同じ街だと認識できる」レベルであろうと予測する。もちろん、建物は新しくなるだろう。看板のほとんども LEDの画面に変わっているはずだ。そして道路を走っているのは、