- 本書の概要
- 著者プロフィール
そこで本書では、ストレスと上手に向き合うためのストレスコントロールの技術を解説。その基本は、自分の心と身体の声に耳を傾け、ストレスの原因を探り、「コントロールできること」にフォーカスするということだ。その上で、本書ではストレスを溜めない思考法や行動習慣、実践的なストレス解消法を紹介する。
著者はこころ元気研究所所長、株式会社エンバワーコミュニケーション代表で、メンタルヘルス講師、産業カウンセラーとして活躍する人物。自身も、震災、リストラ、パニック障害など様々なストレスを経験してきた著者の説くストレス対処法と予防法には説得力がある。自身のストレスとよりよく向き合いたい方はぜひご一読いただきたい。
こころ元気研究所所長。(株)エンパワーコミュニケーション代表取締役。産業カウンセラー、心理相談員、認定コーチ。日本産業カウンセラー協会正会員。「こころ元気配達人」として全国各地で講演・研修活動を行なう人気講師。神戸大学卒業後、不動産会社に入社と同時にバブル経済の崩壊、いきなりリストラを経験。さまざまなアルバイト経験ののち、神戸大学大学院に進むが、卒業時に阪神・淡路大震災が襲う。その後、コンサルタント会社、広告代理店にて技術職、営業職、管理職に携わる。2005年に「こころ元気研究所」を設立。メンタルヘルス講師の活動を始める。
現在はメンタルヘルスにとどまらず、コミュニケーション、モチベーション、リーダーシップ、組織活性化などについて、企業、商工会議所、労働組合、青年会議所、行政、学校・PTA、医療・福祉団体から講師依頼をいただいている。受講者は毎年2万人以上。
第2章 「ストレスを溜めやすい人」の10の特徴
第3章 「ストレスを溜めない」10の思考法
第4章 「ストレスを溜めない」11の行動習慣
第5章 「ストレスが溜まったとき」の7つの解消法
要約ダイジェスト
ストレスサインを見逃さない
私は以前、仕事中にパニック障害による発作によって、死の恐怖を感じたことがある。自律神経の働きが乱れて身体のコントロールが利かなくなり、救急車で病院に運ばれたのだ。自分の内側からあんなに大きな悲鳴が聞こえたのは、はじめてのことだった。
だが、そのずいぶん前から、疲れているのになかなか眠れない、夜中に目が覚めると突然動悸が激しくなる、仕事中に暑くもないのに手のひらに汗をかく、軽いめまいのようなものを感じるなど、いつもの自分とは違う小さな悲鳴が聞こえていた。
しかし、その小さな悲鳴を無視し、やがて、その小さな悲鳴たちは、発作という大きな悲鳴になったのだ。だから、心と身体の声に耳を傾けてほしい。日常のちょっとした行動や気持ちの中に小さな悲鳴は紛れ込んでいるのだ。
例えば、「起きたときから疲れを感じる」「イライラすることが多くなった」「パートナーとの口喧嘩が増えた」「なかなか眠れない、眠りすぎる」「頭が重い感じがする、めまいを感じることがある」「お酒の量が増えた」「ときどき動悸がする」などは、ストレスによる心身の変化のほんの一部だ。
1つチェックがついたから「必ず病院に行こう」というものではないが、こうした日常の小さな悲鳴(不調のサイン)が複数あれば、大きな悲鳴につながるかもしれない。こうした小さな悲鳴(ストレス反応)をキャッチして対処できるかどうかが、生活の質(QOL)を左右するのだ。
ストレス反応は「心」だけでなく「身体」や「行動」にも現れるが、