- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書では、著者が長年培ってきた“話し方のノウハウ”が、「武器(攻め=新企画の提案や反論)」と「盾(守り=利害関係者とのコミュニケーションを円滑に進める)」という観点から惜しみなく明かされており、まさに「話し方の教科書」ともいうべき内容となっている。特に「実践」のしやすさが考慮され、テーマごとに「フレーズ」(ひとこと会話)で具体例がまとめられている点も特徴である。
具体例として裁判などもあるが、日常のビジネスシーンの頻出会話や、いわゆる「できるビジネスパーソンの話し方」なども多く挙げられており、それらは「型」としてそのまま利用できるだろう。話すことに苦手意識を持ち、ビジネスの場での自然な「話し方」の基礎を身に付けたい方から、ビジネスコミュニケーションをレベルアップさせたい方までご一読頂きたい。
横浜生まれ。弁護士。上智大学法学部卒。鳥飼総合法律事務所に所属し、税務訴訟及び税務に関する法律問題を専門にする。青山学院大学法科大学院客員教授(租税法演習)。上智大学法科大学院「文章セミナー」講師。著書に『税務訴訟の法律実務』(弘文堂・第34回日税研究賞「奨励賞」受賞)などがある。
第2章 攻撃から身を守り、真実を引き出すための話し方
第3章 味方を作るための話し方
第4章 予期せぬ質問や批判に対処する方法
要約ダイジェスト
話し方の「盾」と「武器」
弁護士になって10年以上、さまざまな人に出会ってきたが、頭のいい人をみていると、突然のクレームや答えにくい質問などにも笑顔を崩さず上手に立ち振る舞う。上手に伝えることができれば、相手の気分を害することなく、スムーズに仕事を進められるのだ。
弁護士の仕事を通して観察と分析と研究を重ねる中、多くの人々とのコミュニケーションを自然にこなしている人が「評価の高い弁護士」であり、「仕事ができるといわれるビジネスパーソン」であることを肌で感じてきた。
まわりの人を大切にしながら、気が合わない人にも平等に接しつつコミュニケーションを進めることは、話し方の「盾」の部分である。仕事をしていく上では、新しい企画を提案したり、ときに相手のおかしな点に対して反論したりといった「攻め」の姿勢、つまり話し方の「武器」の部分が必要になることもあるが、「盾」ができれば、8割以上は上手に仕事をすすめることが出来る。
また、テクニックが必要な「武器」とは異なり、「盾」の話し方には「型」があるため、身につけることは決して難しいことではない。まずは「盾になる話し方」をマスターし、そのうえで 「武器になる話し方」も身に付ければ、おそれることはなくなるのである。
プロ弁護士が見た、頭のいい人の言い方
対立点を「整理する」ことで、議論の方向が見えてくる
会議などで議論をしていると、収拾がつかない状況に陥ることがある。議論が混沌として、何について議論をしているのかがわからなくなってくるのだ。そんな時に、「ここで話を整理しておきましょうか」という一言が大切である。