『ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか』(酒井大輔/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 消費増税や新型コロナウィルスの影響でアパレル業界の苦戦が報じられる中、順調に売上を伸ばし続ける「ワークマン」。店舗数は2020年5月末でユニクロを越える869まで拡大。売上高も20年3月まで17カ月連続で前年比2桁成長を継続し、20年3月期には創業以来初めて全店売上高1000億円の大台に乗った。なぜ、ワークマンは強いのか。

 本書では、三井物産出身で、ワークマンを成長企業に変貌させた土屋哲雄(現ワークマン専務)氏が、「ファンの期待を決して裏切らない」独自の経営・マーケティング戦略を公開。躍進の背景にある、新業態やプライベートブランドの開発、データ経営への転換といった様々な社内改革が赤裸々に解説されている。

 著者は日経クロストレンド記者で、新業態店やヒット商品、経営者インタビューなど、世の中を変える試みの背景を物語まで描き出すスタイルに定評がある。ビジネスモデル、商品開発、物流、ポジショニング、値決めなど、これからの時代を生き抜く企業戦略のヒントが詰まった一冊としてぜひご一読いただきたい。

著者:酒井 大輔(Sakai Daisuke)
 1986年石川県生まれ。京都大学法学部卒業後、金沢で新聞記者に。北陸新幹線担当として経済部、社会部で開業報道を担う。2017年2月、日経BPに入社。日経トレンディ編集部に加わり、五輪連載「Road to 2020」を担当。18年8月から日経クロストレンド兼日経トレンディ記者。20年6月から日経クロストレンド記者。再開発・商業施設・ホテル・新業態店からヒット商品、スタートアップ、経営者インタビューまで。街が変わる、世の中を変える試みの背景を、物語まで描き出す一本入魂スタイルで執筆を重ねる。
はじめに ワークマンとは何者か
第1章 ワークマンを変えた男
第2章 大躍進の裏に「データ経営」あり
第3章 ものづくりは売価から決める
第4章 ファンの「辛辣な文句」は全部のむ
第5章 変幻自在の広報戦略
第6章 店づくりは壮大な実験
第7章 継続率99%!ホワイトFCへの道
第8章 「変えたこと」と「変えなかったこと」
第9章 アフターコロナの小売りの未来

要約ダイジェスト

作業服専門店が一夜でアウトドアショップに

 作業服専門店として知られるワークマンは、2018年9月、東京都立川市のショッピングモールに、新業態「ワークマンプラス」を出店した。ここから、ワークマンは怒濤の進撃を始める。店先には連日行列が延び、初年度売り上げ目標をわずか3カ月で達成。ワークマンプラスが広告塔となり、既存店にも新規客がなだれ込んだ。

 ワークマンプラスは、ワークマンが扱う膨大な商品群から、アウトドアウエアやスポーツウエア、レインスーツなど、一般受けするだろうと見た320アイテムを切り出したにすぎない。そのうえで、照明や内外装、陳列方法を思い切って変えた。

 しかし、ワークマンプラスの売上高は、既存店平均の2倍に急伸。まさに商品を変えずに売り方を変えただけで2倍売れたのだ。男性の職人中心だった客層は一変し、今やショッピングモール内のワークマンプラスは、女性客が半数超だ。

 2012年4月、土屋嘉雄会長(当時)が常勤顧問として直々に招き入れた男が、ワークマンを成長企業へと変貌させた。男の名は、土屋哲雄(現ワークマン専務)。嘉雄会長の甥に当たり、常務取締役情報システム部・ロジスティクス部担当に就任した。いわゆるCIO(最高情報責任者)的なポジションだ。

大躍進の裏に「データ経営」あり

 新業態「ワークマンプラス」出店に当たり、土屋氏が絶対に必要だと考えたのは、データ経営だった。今までワークマンには在庫管理の正確な数字が無かった。それでも、

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