『シリコンバレーの VC=ベンチャーキャピタリストは何を見ているのか』
(山本康正/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 近年、起業や起業家という存在が珍しいものではなくなった感があるが、スタートアップ企業に投資するベンチャーキャピタリスト(投資家)の実態については、それほど一般に知られていないのではないだろうか。本書は、彼ら投資家がテクノロジーやイノベーションをどう捉え、どのような視点で投資先を選定しているのかを明かした一冊だ。

 本書では、東京とシリコンバレーを拠点とするベンチャーキャピタリストである著者が、AI、5G、自動運転、ブロックチェーンといった最新テクノロジーとビジネスの動向、そして未来を洞察する方法を解説している。スタートアップ企業に創業間もない段階で投資するには、10年後、20年後の未来を見通さなければならないからだ。

 アメリカ生活が長く、シリコンバレーのスタートアップコミュニティに精通する著者の言説には説得力がある。同時に、一読すれば、日本企業が置かれている危機的状況についての警鐘が感じ取れるはずだ。スタートアップ企業に携わる方だけでなく、現在大企業に勤める方にとっても示唆が多い一冊となるはずだ。

著者:山本 康正(Yamamoto Yasumasa)
 DNXベンチャーズ インダストリー パートナー。1981年、大阪府生まれ。東京大学で修士号取得後、三菱UFJ銀行ニューヨーク米州本部に就職。 ハーバード大学大学院で理学修士号を取得。修士課程修了後、グーグルに入社し、フィンテックやAI(人工知能)などで日本企業のデジタル活用を推進。ハーバード大学客員研究員。日米のリーダー間にネットワークを構築するプログラム 「US-Japan Leadership Program」諮問機関委員、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 事業カタライザー。2018年よりDNX Ventures インダストリー パートナー。京都大学大学院総合生存学館特任准教授。著書に『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』(講談社現代新書)がある。
序 章 投資家(ベンチャーキャピタリスト)として何を見ているのか
第1章 これまでの「ビジネスモデル」は通用しなくなる
第2章 イノベーションによる大変動を捉える
第3章 今、どのような技術、ベンチャーに注目しているか
第4章 何を判断基準に投資をしているのか
第5章 「よい情報」を得るにはどうすればよいのか
第6章 日本企業とその社員に未来はあるのか
第7章 これからを生き抜くスキルを身につける

要約ダイジェスト

ベンチャー投資とは何か

 ベンチャー投資とは、まだ小規模で、これから急成長しようとする意思のある企業に資金提供をして、成長してエグジット(上場か売却)したときに報酬を得るという仕組みだ。

 ただ、小規模といってもまだ創業したてで製品が完成していないころ(エンジェル)から、製品ができて、市場と適合しているかどうか(PMF:プロダクトマーケットフィット)を確認するアーリー(初期)ステージ、さらに十分に売り上げがあがって、社員も 100人を超えるレイター(後期)ステージのベンチャーもある。

 特に製品ができる前と後は大事な時期だ。例えば、製品ができる前に投資をするということは、その創業者や共同創業者の能力、人柄にすべてをかけることになるからだ。製品自体を変えなければならない(ピボット)こともある。

 当初のプランどおりにうまくいく確率など3割あればいいほうなので、大事なのは PMFとなる。いくら素晴らしい製品を出しても、価格が高すぎたり、消費者に魅力が伝わらなかったりすれば売れないのだ。

 例えば、仮に初代 iPhone(日本未発売)が 100万円だったとして 1997年に日本で使える形で発売されたとしても、高すぎて、購入する人が限られ、アプリの開発も進まなかったり、通信が遅すぎたりして、一部のマニア向けの商品になっていただろう。正しい売り方や、外部環境のちょうどよいタイミングも製品同様に大事なのだ。

 私が手がけるのは基本的にアーリーステージで、主に会社ができる前、できたばかりのタイミングで投資をする。1口 100万円から 1000万円ほどになるが、IPOなりのエグジットになったときには、100倍から 1000倍になる可能性がある、というのが初期のステージの醍醐味だ。

 どうしてこんなことになるのかというと、リスクが大きいからだ。ある程度、先が見通せるようになれば、

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