『「超」勉強力』
(中野信子、山口真由/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 日本人は、大学に入学した途端に勉強をしなくなるといわれるが、特にビジネス環境の変化が速くなり、かつ人生 100年時代と言われる昨今では、生涯新たな知識を学び続けることが避けられなくなってきている。つまりどのようなビジネスパーソンにとっても、学習への苦手意識や嫌悪感を早めに払拭しておくことが重要だ。

 そこで本書では、ともに東大卒で、現在メディアでも活躍する中野信子、山口真由両氏が、学びを最大化させるそれぞれの勉強メソッドを公開。自ら「天才」ではないと自覚する著者らが、対照的な脳科学的アプローチ(中野氏)と努力型アプローチ(山口氏)で、効率的な勉強法にとどまらず、学びの意義や喜び、可能性を説いている。

 著者の中野氏は、東大卒業後、フランス国立研究所勤務を経て現在は東日本国際大学教授などを務める脳科学者。山口氏は東大卒業後、財務省勤務などを経てニューヨーク州弁護士資格を取得。現在も勉強を続ける著者らの言葉は、今勉強の必要に迫られている方はもちろん、学びから離れてしまっている方にも大いに刺激になるはずだ。

著者:中野信子(Nobuko Nakano)
 脳科学者・医学博士・認知科学者。1975年、東京都に生まれる。東京大学工学部卒業後、同大学院医学系研究科修了、脳神経医学博士号取得。フランス国立研究所ニューロスピンに博士研究員として勤務後、帰国。現在は、東日本国際大学教授、京都芸術大学客員教授として教鞭を執るほか、脳科学や心理学の知見を活かし、マスメディアにおいても社会現象や事件に対する解説やコメント活動を行っている。レギュラー番組として、『大下容子 ワイド!スクランブル』(テレビ朝日系/毎週金曜コメンテーター)、『英雄たちの選択』(NHK BSプレミアム)、『ホンマでっか!? TV 』(フジテレビ系)。著書には、『サイコパス』、『不倫』(ともに文藝春秋)、『人は、なぜ他人を許せないのか?』(アスコム)、『空気を読む脳』(講談社)などがある。

山口真由(Mayu Yamaguchi)
 研究者・法学博士・ニューヨーク州弁護士。1983年、北海道に生まれる。東京大学を「法学部における成績優秀者」として総長賞を受け卒業。卒業後は財務省に入省し主税局に配属。2008年に財務省を退官し、その後、2015年まで弁護士として主に企業法務を担当する。同年、ハーバード・ロースクール(LL.M.)に留学し、2016年に修了。2017年6月、ニューヨーク州弁護士登録。帰国後は東京大学大学院法学政治学研究科博士課程に進み、日米の「家族法」を研究。2020年、博士課程修了。同年、信州大学特任准教授に就任。出演中の主な番組として『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)、『ゴゴスマ』(CBCテレビ/TBSテレビ系)など。主な著書に『いいエリート、わるいエリート』(新潮社)、『思い通りに伝わるアウトプット術』(PHP研究所)などがある。

中野信子【思索編】 学ぶ、知る、生き延びる
山口真由【思索編】 前進はいつも勉強とともに 
中野信子【行動編】 脳がよろこぶ学びの技術
山口真由【行動編】 反復と継続の極意
対談【STUDY_1】 「好き」を追求した学生時代
対談【STUDY_2】 才能の伸ばし方
対談【STUDY_3】 流動化する社会を生きる

要約ダイジェスト

「自分ごと」にすれば忘れにくい(中野信子)

 わたしは小さなころからかなりの面倒くさがりで、「なるべく無駄を省いて、ものごとの本質を効率よく掴みたい」と考えて生きていた。というのも、もともと疲れやすい体質で、体力があまりなかったからだ。

 わたしにもっと生まれつき体力があったなら、もっと多動的になれただろう。多動的な人は、トライアルの絶対量が多いから“あたる戦略”も当然多くなる。ただ、自分はできるだけ考えてから行動する習慣が身についたし、過剰なエネルギーを頼りに、ひとつの方法にこだわり続けてしまうのも避けることができた。

 このように、自分の体が語りかけてくることは、たいてい自分にとっての真実に近いもので、とらえ方次第では自分の武器に変えていける。自分の強みに遅くまで気づけない人もいるが、わたしの場合は、比較的早い時期にそのことに気づいたことが強みとなった。自分にとって効果的な学びをするには、「己を知る」ことがとても大切なのだ。

 脳科学から見た場合、人間は学習すると、神経細胞(ニューロン)同士がシナプス(ニューロン間の接合部位)を介して信号の伝達をしており、その連絡の取り合い方は長期間にわたって増強されていく。そして、その「長期増強」によって、記憶が脳回路に保存されることがわかっている。

 このようなメカニズムを実際の勉強に活かすには、「エピソード記憶」を活用することがひとつの方法だ。一般的に、わたしたちが勉強のなかでなにかを記憶するとき、

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