『なぜ、それでも会社は変われないのか―危機を突破する最強の「経営チーム」 』
(柴田 昌治/著)

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 シリコンバレー発の IT企業などと日本企業は、その文化の違いがよく比較される。そこで語られる日本企業の特徴の1つが、「空気を読む」文化、本書で言うところの「調整文化」だ。これは、何よりも組織の安定・混乱回避を優先する文化のことだが、経営環境の変化が早い VUCAの時代に、調整文化至上主義では時代に取り残されてしまう。

 そこで本書で提唱されるのが、調整文化から「挑戦文化」への移行だ。その際、全社一斉の経営改革ではなく、まず「役員のチーム化」から始める。「文化の改革」には経営層の連携が必要不可欠だからだ。本書ではストーリーを通して役員のチーム化の手法や、挑戦文化の価値軸を具体的に提示、「日本的な挑戦文化」をつくり上げる重要性を説く。

 著者は 30年以上にわたり日本企業の風土・体礎改革を行うスコラ・コンサルトの設立者・プロセスデザイナー代表で、『なぜ会社は変われないのか』などのロングセラーもある人物。意思決定スピードの遅さや責任の所在のあいまいさ、失敗回避など、悪しき組織文化の変革に挑む経営層・リーダー層にはぜひご一読いただきたい。

著者:柴田 昌治(Shibata Masaharu)
 株式会社スコラ・コンサルト代表。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。大学院在学中にドイツ語語学院を始めた学生起業家のひとり。30代の頃には NHKテレビ語学番組の講師を務めるなど幅広い経験を持つ。ビジネス教育の会社を設立後、企業風土・体質の改革に独自の手法を考案し実践している。
はじめに 「令和の改革」のスイッチを入れる
 第1章 「答えが見つからない時代」の経営 令和こそは「脱皮」の時代へ
第Ⅰ部 問題解決の突破口 挑戦文化へのパラダイム転換のための打開策
 第2章 「役員の壁」を打破する 挑戦型の経営チームをめざして
 第3章 経営増を「真のチーム」にする 日本発!経営チームビルディングの実践方法
第Ⅱ部 問題の根本的解決法 「挑戦文化」へ舵を切る
 第4章 なぜ企業価値は高まらないのか 経営の足を引っ張る調整文化
 第5章 「どうやるか」思考から脱する 挑戦文化へ移行する5つの処方箋
 第6章 「組織の常識」から自由になる 役員層が変われば、現場も変わる
おわりに

要約ダイジェスト

大企業改革は「文化の変革」

 日本の組織で働くには「空気を読む」力が必要とされる。何かをする時、何かが起こった時、常識ある組織人であればあるほど“組織の意向”といった空気を意識する。そして、無意識のうちに自分の判断を先送りする。

 この“日本的な空気感”の正体は、日本社会が伝統的に引き継いできた「調整文化」が生み出す作用そのものだ。この調整文化というのは、何よりも組織の安定を優先する「組織の混乱回避」を大切にする文化である。

 日本そして日本企業の将来にとって問題なのは、この調整文化が一種の「思考停止の文化」になっている、という点だ。こうした「予定調和」の考え方は“結論が最初から見えている”ことを意味する。つまり、最初から確定している結論に向かって、そこから逆算した道筋をただ辿っていく進め方であれば、深く考える必要はない。

 世界でも目を引く「異常に低い生産性の伸び」「経営スピードの遅さ」「スローガンが独り歩きする挑戦」「考える力を持つ人が育たない」といった日本企業が抱える諸問題は、まさにこの「調整文化」を起源とするさまざまな問題が絡み合うことで生まれる。

 日本経済、そして日本という国にも大きな影響を与える大企業の改革では、この調整文化をコントロールする必要がある。どうすれば調整文化のマイナスの影響を排除し、考える力が育つ環境を手に入れられるのか、これが令和の時代の日本企業の最重要テーマだ。

 そして、激動の時代に対応していくことを可能にするためには、「挑戦していく文化(挑戦文化)」を後押ししなくてはならない。こうした企業の文化に関わる根幹に手を打てるのは、組織の頂点に位置する「経営陣」、しかも経営トップとめざすものを共有して参謀機能を果たす「役員チーム」以外にない。

 会社のめざすものに向かって“経営陣が一枚岩になる”ことで、初めて時代が求めている経営のリーダーシップ機能が発揮されるからである。

「役員のチーム化」が日本再生のための究極の打開策

 組織人にしてみれば、上の言うタテマエ(と思って自分が受け取っている方針)をまともに受けていたら身がもたないから、心の中では「できるわけがない」と思いつつ、表向きは「やる姿勢」を示してアリバイをつくっておく。こうした「面従腹背」は、

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