- 本書の概要
- 著者プロフィール
著者は相互依存(ギブアンドテイク)における関係から、人間を「ギバー(与える人)」「テイカー(受け取る人)」「マッチャー(ギブとテイクのバランスをとる人)」の3タイプに分類。そして、実は成功者に最も多いタイプは、計算高い「テイカー」ではなく、いい人過ぎて損をしそうな「ギバー(与える人)」であると指摘する。
本書で説かれている「ギブこそが重要」「情けは人のためならず」という主張は、一見すると当たり前のお説教のようにも聞こえるが、それに説得力を与えているのが、多くの調査と最新の研究成果であり、昔から言われる「性善説」や「因果応報」がなぜ真実なのか、そして「与える人」がなぜ成功するのかが科学的に見事に解き明かされる。
IT技術が進化し、SNSをはじめとしたネットワークで人脈がつながる世界において「ギバー(与える人)」の存在はますます重要になっているという。よりよい人間関係やキャリア、組織に興味関心がある方はもちろん、普段はあまり自己啓発などのジャンルの本を読まないという方にもご一読をお薦めしたい。
ペンシルベニア大学ウォートン校教授。組織心理学者。1981年生まれ。同大学史上最年少の終身教授。『フォーチュン』誌「世界でもっとも優秀な40歳以下の教授40人」、『ビジネスウィーク』誌「Favorite Professors」に選ばれるなど、受賞歴多数。
「グーグル」「IBM」「ゴールドマンサックス」などの一流企業や組織で、コンサルティングおよび講演活動も行なう。
監訳:楠木 建(クスノキ ケン)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科(ICS)教授。経営学者。1964年東京生まれ。専門は競争とイノベーション。
2.「名刺ファイル」と「フェイスブック」を見直せ―「与える人」の才能(1)
3.チームの総力を活かせる人―「与える人」の才能(2)
4.荒野で“ダイヤモンド”を見つける法―「与える人」の才能(3)
5.「パワーレス」の時代がはじまった―「与える人」の才能(4)
6.「与える人」が気をつけなければならないこと
7.気づかいが報われる人、人に利用されるだけの人
8.人を動かし、夢をかなえる「ギブの輪」
9.「成功への道」を切り拓く人たち―あとに続くのは誰だ
要約ダイジェスト
「与える人」こそ、幸せな成功者となる
「ギバー」「テイカー」「マッチャー」
私たちが働く社会は人びとが密接に結びつき、そこでは人間関係と個人の評判がますます重要になっている。そしてビジネスで誰かとかかわるたびに、私たちは相手からできるだけ多くを受けとるべきか、それとも見返りを気にせず与えるベきか、という選択をしている。
私は組織心理学者として十年以上、グーグルからアメリカ空軍にいたるまで、組織におけるこうした選択について研究してきた。そしてわかったのは、この選択こそが成功に決定的な影響を及ぼしているということである。
相互関係、すなわちギブ・アンド・テイクの関係において、どのくらい与え、どのくらい受けとるのが望ましいと考えるかは、人によってまったく異なる。ここでは一方を「テイカー(受け取る人)」、もう一方を「ギバー(与える人)」と呼ぶ。
「テイカー」は常に、