『CHROの原理原則―人事は水を運ぶ―』
(堀尾司、山崎賢司/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 近年、働き方改革や人材の多様化などの背景を受け、 「CHRO(Chief Human Resource Officer」が注目を集めている。「最高人事責任者」を意味する CHROは、裏方的なイメージの人事ではなく、経営レベルで戦略人事を推進する役職を指す。本書は、そんな CHROの考え方や原理原則、人事戦略を解説する一冊だ。

 本書の元となったのは、急成長中のベンチャー企業や組織の人事担当者が集う、戦略人事の基礎講座「CANTERA(カンテラ)」の講義内容。具体的には、組織デザイン、ビジョン、組織風土、評価制度、キャリア開発など、多岐にわたる人事課題に対して、押さえるべき原理原則と人事施策運用上のポイントが明らかにされている。

 著者の堀尾司氏は複数社の人事責任者を経て ALL Personal代表、CHRO育成アカデミー CANTERAの責任者。山崎賢司氏は、日本能率協会などを経て、現在はシナプスLab.代表を務める人物。人事の実務のみならず、仕事やキャリアを考えるうえでのヒントが詰まっている。人事・経営幹部はもちろん、現場リーダー層もぜひご一読いただきたい。

著者:堀尾 司(Horio Tsukasa)
 (株)All Personal代表取締役CEO。1973年北海道生まれ。1994年(株)リクルート入社。2004年ソフトバンクBB(株)入社。ソフトバンク通信事業3社を兼任し、営業・技術統括の組織人事責任者に従事。2012年グリー(株)入社。国内の人事戦略、人事制度、福利厚生、人材開発の責任者を歴任。2014年より東京東信用金庫に入庫し地域活性化に従事。2017年6月(株)AllDeal創業。2018年11月、(株)All Personalに社名変更。CHRO育成アカデミーCANTERA責任者。

山崎 賢司(Yamazaki Kenji)
 (株)シナプスLab.代表取締役。1974年愛媛県生まれ。1997年地方銀行へ入行。2001年社団法人日本能率協会(現・一般社団法人日本能率協会)入職。教育研修(リーダー育成、経営者選抜育成等)の企画に従事。2004年ソリューション部門を立ち上げ事業化。その後、研究所副所長、KAIKAプロジェクト室長などを歴任。独立後、現在はコンセプトメイクから各種ドキュメント化、(ビジョン・理念から中長期戦略構築、人事制度設計・風土診断など)人事関連プロジェクトの支援をしている。

はじめに
第1章 組織をデザイン
1 CHROに必要な視座と視野
2 成長の階段を踏み外さない組織づくり
3 コンフリクトを前提に組織デザイン
第2章 風土も意図的に
4 ビジョンの“普段づかい”
5 社内方言~組織風土をコア・コンピタンスに
6 人事は“水を運ぶ”~運用は制度にまさる
第3章 制度はメッセージ
7 人事制度の本質を押さえる
8 会社の採用力は再現性・スピード・運用の3点
9 再現性づくりと環境づくり
第4章 人が源泉
10 キャリアの問いを日常に埋め込む
11 やる気の源泉を知ることが第一歩
12 人の成長と組織の成長
第5章 終章
13 CHROとして、変革リーダーとして
おわりに

要約ダイジェスト

CHROに必要な視座と視野

 「ヒト・モノ・カネ・情報」と言われる経営資源だが、この中で最も難しく最も面白い「人」、そして組織の領域を司るのが CHROだ。CHROは、経営ビジョンの実現、経営戦略の実行を判断軸に、戦略人事を進めていく人である。

 しっかりとした人事責任者の方は、非常に高い視座を持っていることが多い。例えば「働き方改革」について伺うと、「わが社は今こうやっている」という話にとどまらず、「世の価値観がこう変化している」という視点や、「業界もこういう変革期にきているので」といった構造的な点にも話が及ぶ。

 経営の視座から物事を考えるためには、会社の外部環境にアンテナを立てなければならないし、自社についても中長期で考えなければならない。一方で人事は、自社の組織のリアルな状態を常に知っていなければならず、かつ、本来はどのような状態にあるべきなのかについて経営層と共通認識を持っておくことが必要だ。

 このように、CHROの持つべき視点は、「外部・内部」×「俯瞰・現状」のマトリクスで表現できる。外部×俯瞰の「社会環境認識の視点」、外部×現状の「自社を位置づける視点」、内部×俯瞰の「ありたい姿を描く視点」、内部×現状の「手触り感を持つ視点」の四象限だ。優秀な CHROはこの四象限の視座、視野を「行き来」している。

 CHROの基本となるものの見方・考え方、

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