- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書では、「頑固で気難しい」などの高齢者に対するステレオタイプな見方を覆す見解を、確固たる研究結果から提示する。そして、脳の健康を維持し QOLを高めるための 10のルールを、社会的活動、心理面、食事や睡眠、ライフスタイルなどさまざまな角度から解説する。それらは具体的アドバイスとしてすぐに実践できるものばかりだ。
著者は人間の脳の発達や精神障害の遺伝学的研究を専門とする生物学者で、メンタルヘルスの研究に長年従事してきた人物。今後健康に気を使う必要が出てくる働き盛りの年代の方、若々しい心身を保ちたい方はぜひご一読いただきたい。なお本書は 31言語に翻訳されシリーズ世界累計 100部超のベストセラーとなっている。
分子発生生物学者であり、ワシントン大学医学部生体工学科で教鞭をとっている。人間の脳の発達や精神障害の遺伝学的研究を専門とする。これまでに、ワシントン大学工学部の年間最優秀教授、メリル・ダウ医学生涯教育最優秀教授、バイオエンジニアリング学生協会年間最優秀教授(二度受賞)に選ばれている
翻訳:野中 香方子(Nonaka Kyoko)
お茶の水女子大学教育学部卒業。カーツワイル『ポスト・ヒューマン誕生』(共訳)、レイティ『脳を鍛えるには運動しかない!』(以上、NHK出版)、ブレグマン『隷属なき道』(文藝春秋)、ピルズベリー『China 2049』、ランダース『2052』(以上、日経BP)などの話題作を多く手がける。直近の訳書にカッツェンバック『最高の企業文化を育む「少数」の法則 』(日経BP)ほか、訳書多数。
【1】社交には驚きのプラス効果がある
1章 すぐにダンスを始めよう
2章 楽観的に、感謝を忘れず過ごそう
【2】脳の劣化を抑えるための具体的方法
3章 正しいマインドフルネス
4章 記憶力を維持するには
5章 テレビゲームは脳に効く
6章 アルツハイマー病の(今わかっている)すべてを語ろう
【3】体と脳の深いつながりを意識しよう
7章 脳機能を高める食事と運動
8章 思考をクリアに保つ睡眠習慣
【4】脳に良いライフスタイルで過ごそう
9章 なぜあの人の脳は衰えないのか
10章 決して引退してはいけない
要約ダイジェスト
社交には驚きのプラス効果がある
ジェロサイエンス(老化の科学)と呼ばれる研究分野によれば、脳は年をとれば必ず衰えるわけではない。例えば、社会的な活動は、老いていく脳にとってはビタミンやミネラルのようなもので、その効果は絶大だ。インターネット上の交流でさえ優れた効果がある。
これは研究によっても立証されている。高齢者の社交性を点数で評価し、その後、12年間にわたって、認知機能の低下の度合いを計測した研究では、最も社交的なグループは、最も社交的でないグループに比べて、認知機能の低下率が 70%も低かった。またある研究では、たった 10分他者と交流しただけで、情報処理能力とワーキングメモリ(作業記憶)が向上した。
他者との交流が活力を高める理由は主に2つある。1つはストレスを軽減することだ。その結果、体は全般的に健康になり、加えて、免疫システムも強化される。
もう1つは、脳の鍛錬になることだ。ポジティブな社会的相互作用を経験する人ほど、アロスタティック負荷(ストレスが知力を含む身体能力に及ぼす影響)が軽くなる。人とつきあうには相当のエネルギーが必要とされ、脳にとって格好のトレーニングになるのだ。
老人は頑固で気難しい、は本当か?
一般に、高齢者には偏屈で気難しいという評判がつきものだ。ある研究では、