- 本書の概要
- 著者プロフィール
それゆえ、どのような状況になっても自分が有利に進められるように準備をしておく。これが「運」を自ら創るということであり、強いプレイヤーが実践していることだ。本書では他にも、勝負の「流れ」は幻想にすぎない、強いプレイヤーはスタイルを持たない、強気と弱気を使い分ける、など著者独自の勝負哲学が明かされる。
著者は「バックギャモン」で、日本人初、女性初の2度の世界チャンピオンに輝いた人物。私生活でも余命一年の宣告を受けたガンを闘病の末克服するなど、文字通り死地を乗り越えてきた著者の説得力ある言葉からは、ビジネスや投資、スポーツなど、人生における多くの勝負事に通底する運の創り方や戦略、精神力が学べるはずだ。
1980生まれ。明治学院大学卒業。プロのバックギャモンプレイヤー。日本人3人目の世界チャンピオン。国内、海外のトーナメントを転戦し、数多くの優勝を果たす。
2014、2018年の世界選手権(モナコ公国・モンテカルロ)のメイン種目で優勝し、日本人初、国籍を問わず女性初となる2度の世界チャンピオンになった。
2012年に「ステージIIIC」の末期の子宮体がんの診断を受け、医師からは「手術しなければ1年もたない」と宣告された(その後、奇跡的に克服)。
手術と抗がん剤治療による手のしびれ、全身の痛みといった副作用と戦いながら14年に世界選手権を制したという経験を持つ。
世界中の大会で活躍するとともに、バックギャモンの普及活動に尽力。また、がんサポートの社会貢献活動も行っている。新聞、テレビ等メディア出演多数。
第1章 サイコロの目は選べない
第2章 「運」に選ばれる思考法
第3章 「運」を加速させる
第4章 「運」を育む習慣
要約ダイジェスト
なぜ、勝負に強い人は運がいいのか
バックギャモンは囲碁や将棋と異なり、プレーヤーの才能や努力ではどうすることもできない不確定要素である「運」という領域が勝敗を左右するゲームだ。だが、それは偶然に身をゆだねるということではない。運とは、自分で創るものだ。
バックギャモンでは、プロも初心者も、サイコロという確率の世界では平等なのだが、両者が戦うと、まるでプロが数々の幸運に恵まれて毎回勝ってしまうように見える。それは、どういう目が出てもいいように、プロはあらかじめ準備をしているからだ。
強いプレーヤーは、次にどんな目が出ても対応できるように駒を配置していき、先々の局面について、自分が有利になる可能性が大きくなるように考えて駒を動かす。逆に、弱いプレーヤーほど先々の可能性を狭めてしまうような手を打ってしまう。
私たちは、自分にとって望ましいことが起きると「運がいい」と感じる。だから、できるかぎり自分にとって望ましいと思えるような状況を作りだせばよいのだ。
強い人ほどスタイルを持たない
強いプレーヤーほど、プレースタイルに特徴がなくなる。バックギャモンの全体の9割の局面では、上級者なら誰でも「この手しかない」と判断が一致するものだ。すると、プレースタイルによって選択肢が変わる1割の部分で差がつくことになる。
対峙する相手とまったく同じ条件のもとに勝敗を争うとき、プレーに何らかのスタイル(特徴)ができるということは、