- 本書の概要
- 著者プロフィール
著者で脳科学者の茂木健一郎氏も、かつてそうした怒りっぽい人の一人だったが、今やほとんど「怒らない人」になったという。それは、怒ることは事態を悪化させることが多いうえに、怒らないほうが脳を活性化できるからだ。本書では、脳科学の知見を元に脳と怒りの関係を解き明かし、自分の脳を「怒らない脳」に変えていく方法を伝授する。
さらに本書では、最近の若者の怒り方やネットの炎上など現代型の怒りにも言及。職場や家庭で怒りを感じることが多い人、クレームなどの怒りに接することが多い人はもちろん、真っ当な怒りを前進するエネルギーに変えていきたい人もぜひご一読いただきたい。著者は脳科学者、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。
脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。1962年、東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。「脳と仮想」(新潮社)で小林秀雄賞を、「今、ここからすべての場所へ」(筑摩書房)で桑原武夫学芸術賞を受賞。
第2章 怒るとき、脳はこうなっている
第3章 キレそうになったときのとっさの対処法
第4章 怒っていることを相手にうまく伝える
第5章 今日から始める怒らない習慣
第6章 20世紀の怒り、21世紀の怒り
要約ダイジェスト
あなたではなく、脳が怒っている
「そんなつもりはなかった」「あれは本心ではない」「気づいたら、こんなことをしていた」…、怒りに任せてふだんならしないことをやってしまう人たちが、まるで他人事のように「出来心だった」と言うことがある。
それは、実は怒ったのは「脳」だからだ。もっと言うと、脳が怒りに「ハック」されてしまっている。怒った人は、脳がハックされていることなど知らず、ハックされた脳に指示されるまま自分の意思とは関係なく暴挙に及んでしまうのだ。
怒りとは、不快の感情で、その反対の快の感情は、喜びとか楽しさ、うれしさ、愛とかやさしさといったものだ。ある出来事があって、それが「快」なのか「不快」なのかを決めるのは、脳の「扁桃体」というところだ。
偏桃体が不快だと思っても、怒るか怒らないかはまだ決まっていない。不快になっても、その感情をコントロールできれば、怒ることはなく、反対に、不快になって、その感情をコントロールできなければ、怒り出すことになる。
一般的に快/不快のどちらであれ、その感情をコントロールするのが、前頭葉だ。前頭葉は思考や意思決定、