『大前研一 2020年の世界―「分断」から「連帯」へ―』
(監修/大前研一)

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 大前研一氏が、グローバルなビジネス情報を解説する『大前研一ビジネスジャーナル』シリーズの特別編。本号では、2020年以降の世界と日本の「経済・政治・ビジネス」の動きを経営者向けに講義したセミナーを元に、米中の経済対立と世界に広がる分断現象に対して、世界はどのように連帯への道を模索し、日本はどう対処すべきかを示している。

 米中覇権争いの本質からブレグジット、GAFA・BATHなど巨大 IT企業の動向といった必須トピックスはもちろん、長期政権となった安倍政権の振り返り、大前氏が提唱する、隣の大国中国をしたたかに利用する「クオリティ国家」戦略なども解説。一読すれば、国、企業、個人を俯瞰した観点から多数のヒントが得られるはずだ。

 大前研一氏は日本の戦略コンサルタントの先駆けとしてマッキンゼー・アンド・カンパニー・インクで日本支社長、本社ディレクター、アジア太平洋地区会長を歴任。現在はビジネス・ブレークスルー(BBT)代表取締役、BBT大学学長などを務める人物。2020年以後のビジネスを考えたいビジネスパーソン、特に経営層はぜひご一読いただきたい。

著者:大前研一(オオマエ ケンイチ)
 株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長/ビジネス・ブレークスルー大学学長。1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。以後も世界の大企業、国家レベルのアドバイザーとして活躍するかたわら、グローバルな視点と大胆な発想による活発な提言を続けている。
 現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長及びビジネス・ブレークスルー大学大学院学長(2005年4月に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラムとして開講)。2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開校、学長に就任。日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる。
1 世界経済の動向~総じて下向き、巨大な富の創出が困難な時代に
2 世界情勢の動向~加速する自国第一主義とポピュリズム、世界は分断へ
3 21世紀の世界のあるべき姿~対立と分断が進む中、連帯と協調の道を模索すべし
4 日本の動向~長期政権下で“静かなる死”へ。クオリティ国家への転換を目指せ
5 2020年、日本はどうすればよいか?~抜本的な教育改革で21世紀に通用する人材を育成せよ

要約ダイジェスト

米中貿易戦争、そして世界の分断

 世界経済は米国、中国、EUの三極体制に移行したが、米国発の自国第一主義とポピュリズムは世界中に伝播し、国際社会は分断の危機に瀕している。利害対立や経済格差ゆえに主権国家間の調整が困難で、世界共通のルールの策定がままならない膠着状態に陥っているのだ。

 リーダー不在の EUは足並みが揃わず、ブレグジットの確定によってさらなる混乱が予想される。英国自体も、スコットランド独立を端緒として連合王国そのものの崩壊へと向かうシナリオも見えてくる。世界は今一度協調と連帯の道を模索する必要があるだろう。

 そのような混迷を極める世界にあって、日本は低迷の一途である。平成元年には世界の企業時価総額ランキングトップ 10のうち8社が日本企業だったが、今や日本のトップ企業トヨタ自動車も世界の企業時価総額ランキング 42位にまで凋落してしまった。かたや中国は、30年前は九州と同程度の GDPだったが、今や日本の 2.5倍になった。

 そこで求められるのが、超大国を隣国に擁する生存戦略“クオリティ国家”である。だが、質においても量においても人材不足が叫ばれながら、日本の教育制度は全方位的に立ち遅れている。そのような中にあって、日本はどうすればよいのか。

シングルイシューで結果を出していない安倍政権

 日本では安倍晋三首相が 2019年 11月、憲政史上最長在任の首相という記録を残したが、私の安倍評は一言「いろいろなことを言いすぎている」である。実は過去の首相の成功例を分析してみると、

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