『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』
(黒田真行、佐藤雄佑/著)

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 インターネットや AIなどのテクノロジーの進化は様々な業界に影響を及ぼしているが、人材ビジネス領域もその例外ではない。ここ 20年ほど、人材ビジネスの主流はいわゆる求人広告と人材紹介の2大ビジネスモデルだったが、近年、ソーシャルリクルーティングやアグリゲーション型求人検索エンジンといった新潮流が業界を席巻し始めているのだ。

 では今後、企業を取り巻く人材ビジネスはどう変わっていくのか、そしてどう変わるべきなのか。本書では、江戸時代から現代に至る採用ビジネスを振り返り、就労人口減少や働き方改革、テクノロジーの影響を加味して近未来の人材業界の見立てを示している。企業、求職者、人材紹介会社の3者の視点からわかりやすく整理されているのが特長だ。

 著者は元「リクナビ NEXT」編集長で、現在は転職支援サービスなどを運営する黒田真行氏と、元リクルート人事 GMで、現在は働き方改革やキャリアデザイン支援などを手掛ける佐藤雄佑氏。人材業界で働いている方はもちろん、企業の人事・採用担当者や経営層も一読すれば、採用における様々なヒントが得られるはずだ。

著者:黒田 真行(Kuroda Masayuki)
 1965年生まれ。1988年 リクルート入社。「B‐ing」「とらばーゆ」「フロム・エー」関西版編集長を経て、2006年から2013年まで「リクナビNEXT」編集長、その後「リクルートエージェント」ネットマーケティング企画部長、「リクルートメディカルキャリア」取締役などを歴任。2014年、ルーセントドアーズ株式会社を設立し、35歳以上のミドル世代を対象とした転職支援サービス「Career Release40」を運営。2019年、転職を前提としない中高年のキャリア相談プラットフォーム「CanWill」開設。また、転職メディアや人材紹介事業などの人材ビジネス各社の経営課題解決を支援する事業強化コンサルティングも展開している。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』(日本経済新聞出版社)、『40歳からの「転職格差」 まだ間に合う人、もう手遅れな人 』(PHPビジネス新書)。

佐藤 雄佑(Sato Yusuke)
 株式会社ミライフ代表取締役。新卒でベルシステム24入社、マーケティングの仕事に従事。そこで「やっぱり最後は人」だと思い、リクルートエイブリック(現在のリクルートキャリア)に転職。法人営業、支社長、人事GM、エグゼクティブコンサルタントなどを歴任。MVP、MVG(グループ表彰)などの表彰多数受賞。リクルートホールディングス体制構築時(2012)には人事GMとして、リクルートの分社・統合のプロジェクトを推進。2016 年、株式会社ミライフ設立。未来志向型キャリアデザインエージェント事業、戦略人事コンサルティング事業、働き方変革事業などを展開している。早稲田大学ビジネススクール(MBA)卒業、米国 CCE,Inc 認定GCDF-JAPANキャリアカウンセラー。著書に『いい人材が集まる、性格のいい会社』(クロスメディア・パブリッシング)がある。

序 章 採用支援ビジネスをとりまく全体像
第1章 職業選択の広がりと採用ビジネスの100年
第2章 求人広告と人材紹介 2つの人材ビジネスの誕生
第3章 リクルーティングビジネスにおけるビジネスモデル変遷
第4章 リクルーティングビジネスの新潮流
第5章 人材業界のディスラプター
第6章 人事採用部門は変化にどう対応すべきなのか?
第7章 リクルーティングビジネスの未来シナリオ

要約ダイジェスト

リクルーティングビジネスにおける空白地帯

 6,000万人の就業人口に対して、雇用のマッチング機会を提供し、いまや 11兆円を超える一大産業となった人材業界だが、求人広告ビジネスや人材紹介業、人材派遣などの人材ビジネスが、社会の中で一般的な存在として認識されるようになったのは、1980年代以降のことだ。

 会社を辞めた人を“脱落者”扱いする空気は、時代を追うごとに変化し、転職は、当たり前どころか、適正なキャリア構築のための不可欠な手段となった。そして 1990年代後半に登場したインターネットが世の中を変え、AIテクノロジーがさらに変化を加速化する 2020年代へ向かおうとしている。

 リクルーティングビジネスには大きく分けて、「ネット求人広告」と「人材紹介」のいう2つのビジネスモデルがあり、その中で派生したビジネスモデルが生まれてきたものの、直近 20年、この業界は大きく変わっていない。

 そこで、改めてリクルーティングビジネスにおけるビジネスモデルを見てみると、一つ気付くことがある。それは低価格帯のビジネスモデルが存在しておらず、ビジネスモデルの空白地帯があることだ。

 2大ビジネスモデルが大きく変わってこなかったのは、リクルーティングビジネスで、競争戦略論の一つである「コストリーダーシップ」、すなわち低価格戦略に出る企業が無かったからだ。背景としては、扱っているものが「人材」であるという点に起因する。

 採用においては、採用費が安いからといって、誰でも採用しようとはならない。なぜなら採用費以上に、採用した後の人件費の方が高いからだ。そのため、既存のリクルーティングビジネスを行っている各社は、価格を下げるのではなく、よりいい人材を、

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