『ピボット・ストラテジー 未来をつくる経営軸の定め方、動かし方』
(オマール・アボッシュほか/著)

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  • 目次
 ピボットとは方向転換を意味し、ITベンチャーなどのサービスや戦略転換の際によく使われる言葉である。しかし、デジタル化による市場破壊や新興企業の脅威にさらされている既存企業でも、現在の主要な事業を方向転換する必要性が増してきている。ただしやみくもな戦略変更や事業の縮小、新規事業への進出では持続的な成功はおぼつかない。

 そこで本書では、戦略コンサルティング企業大手のアクセンチュアが、自社の経験をもとに体系化した「賢明なピボット」と呼ばれる戦略を解説。その特徴は、すでに落ち目にある「過去」の事業、成熟しつつある「現在」の花形事業、冒険的な「未来」の事業の3つのバランスをとりつつ、一貫した戦略を描く点にある。

 著者はアクセンチュアの CSO(最高戦略責任者)を経て通信・メディア・ハイテク本部グループ最高責任者を務めるオマール・アボット氏ほか2名で、アクセンチュア、ウォルマート、ネットフリックス、ユニクロ、トヨタなど 100以上の国内外事例から、ピボット戦略実行の本質に迫っている。経営層や新規事業に携わる方はぜひご一読いただきたい。

著者:オマール・アボッシュ(Omar Abbosh)
 アクセンチュアの通信・メディア・ハイテク本部でグループ最高責任者を務める。それ以前はアクセンチュアの最高戦略責任者を務め、戦略と投資のあらゆる面を監督し、アクセンチュア・セキュリティ、ダブリン・センター・フォー・イノベーション(The Dock)、またアクセンチュアのベンチャー&アクイジション、インダストリー・プログラム、リサーチ、コーポレート・シチズンシップの運営を担当していた。アクセンチュアのグローバル経営委員会のメンバーも務めている。

ポール・ヌーンズ(Paul Nunes)
 アクセンチュア・リサーチにおいてソート・リーダーシップのグローバル・マネジング・ディレクターを務める。社内において、テクノロジーと戦略的事業改革に関する画期的な知見の開発を監督している。また著書に、Big Bang Disruption: Strategy in the Age of Devastating Innovation(邦訳『ビッグバン・イノベーション 一夜にして爆発的成長から衰退に転じる超破壊的変化から生き延びよ』共著、ダイヤモンド社)、Jumping the S-Curve: How to Beat the Growth Cycle, Get on Top, and Stay There(『S字曲線を飛び越える 成長サイクルを乗り越え、支配し、留まる方法』、共著、未邦訳)、Mass Affluence: Seven New Rules of Marketing to Today’s Consumer(『大きく繁栄する 今日の消費者に対するマーケティングを成功させる7つの新しいルール』、共著、未邦訳)がある。

ラリー・ダウンズ(Larry Downes)
 創造的破壊をもたらすイノベーションの時代におけるビジネス戦略開発の専門家であり、アクセンチュア・リサーチでシニア・フェローを務める。Big Bang Disruption: Strategy in the Age of Devastating Innovation(邦訳『ビッグバン・イノベーション 一夜にして爆発的成長から衰退に転じる超破壊的変化から生き延びよ』、共著、ダイヤモンド社)、The Laws of Disruption: Harnessing the New Forces that Govern Life and Busines in the Digital Age(『創造的破壊の法則 デジタル時代におけるビジネスと生活を支配する新しい力を利用する』、未邦訳)、Unleashing the Killer App: Digital Strategies for Market Dominance(『キラーアプリを活用する マーケット支配に向けたデジタル戦略』、共著、未邦訳)など、数多くの著書がある。

監修:牧岡 宏(Makioka Hiroshi)
 アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 シニア・マネジング・ディレクター 常務執行役員。東京大学工学部卒業。マサチューセッツ工科大学経営科学修士修了。丸紅、ベイン&カンパニーを経て2014年にアクセンチュアに参画。全社成長戦略、組織・人材戦略、M&A戦略等の領域において幅広い業界のコンサルティングを行いながら、同社戦略部門を統括している。監訳書に『サーキュラー・エコノミー:デジタル時代の成長戦略』(日本経済新聞出版社)がある。

訳者:小林 啓倫(Kobayashi Akihito)
 1973年東京都生まれ。筑波大学大学院修士課程修了。システムエンジニアとしてキャリアを積んだ後、米バブソン大学にてMBA取得。外資系コンサルティングファーム、国内ベンチャー企業などで活動。著書に『FinTechが変える! 金融×テクノロジーが生む出す新たなビジネス』『IoTビジネスモデル革命』(いずれも朝日新聞出版)など、訳書に『HUMAN+MACHINE 人間+マシン AI時代の8つの融合スキル』(東洋経済新報社)、『FinTech大全』(日経BP社)、『プロフェッショナルの未来 AI、IoT時代に専門家が生き残る方法』(朝日新聞出版)などがある。

イントロダクション 「再構築」を再構築する
PART1 潜在的収益価値を解放する
 第1章 潜在的収益価値のギャップ―創造的破壊をチャンスに変える
 第2章 7つの過ち―潜在的収益価値の解放を妨げるもの
 第3章 7つの勝利戦略―潜在的収益価値を解放するカギ
PART2 賢明なピボット
 第4章 賢明なピボット―過去・現在・未来の事業における価値の発見と成長
 第5章 過去・現在・未来―成長を再開し、利益を加速させ、規模を拡大して勝利をつかむ
 第6章 イノベーションのピボット―集中・制御・志向
 第7章 財務のピボット―固定資産・運転資本・人的資本
 第8章 人材のピボット―リーダーシップ・労働・文化
結論 自らのブロックを見つけよう

要約ダイジェスト

「再構築」を再構築する

 もし問題が彼の目に留まるほど大きなものでなかったら、その大手プロフェッショナルサービス企業の CEOは、皮肉な状況を前に笑っていたかもしれない。その企業は長年にわたり、創造的破壊の波が多くの産業を次々と飲み込む中で、前に進むための方法を世界中のクライアント企業にアドバイスしてきた。

 しかしいま、高速インターネットやクラウドサービス、モバイルデバイスといったデジタル・テクノロジーの急激な普及により、彼自身の会社の中核事業であるコンサルティングサービスが、上下から押しつぶされようとしていた。

 下から突き上げていたのは、インドで高品質のサービスを展開する企業だった。彼らは世界中の顧客に対し、開発のアウトソーシングといったサービスを格安で提供するようになっていたが、そうしたサービスは、前述の会社において、長い間、非常に重要な位置を占めていた。さらにインドの企業は、彼の会社とより競合する高付加価値のサービスへの進出を始めていた。

 一方、上から迫って来ていたのは、巨大ハードウェアメーカーとソフトウェアのプラットフォーマーだ。彼らは自社開発のソフトウェアを駆使して大規模なサービス会社へと変身し、CEOの会社が大企業の経営者と育んできた戦略的関係に脅威を与えるようになっていた。

 まさに創造的破壊の瀬戸際に立たされていたこの会社とは、数年前(正確には 2014年)のアクセンチュアである。生き残るためには、最も動きの速い会社のさらに先を行き、中核事業が他社に破壊される前に、自らそれを壊しにいく必要があった。

 この経験を通じて得た教訓は、予測される不確実性に直面したとき、ひとつの大規模な「変革」だけでは乗り越えられない、ということだ。そして変化に対する唯一の解決策は「継続的な再構築」、すなわちひとつの事業機会から次の機会へと、

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