- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書では、スマートフォンやメディア、コネクテッドカーなどの消費者向けサービスにとどまらず、エネルギー産業や製造業の IoT、公共交通における Maasなどビジネス面への影響も詳しく解説。国内外の最新事例や必要十分な技術的解説、リスク面の指摘も加え、通信業界以外の事業者こそが主役になるという 5Gビジネスの全貌を解き明かしている。
著者は、先端テクノロジー解説に定評のある野村総合研究所 ICTメディア・サービス産業コンサルティング部テレコム・メディアグループマネージャー。5Gビジネスの格好の入門書として、経営層や IT関連の新規ビジネス創出に関心がある方はもちろん、東京オリンピック後のビジネス環境の変化が気になる方もぜひご一読いただきたい。
野村総合研究所 ICTメディア・サービス産業コンサルティング部 テレコム・メディアグループマネージャー。東京大学大学院工学系研究科卒業後、2005年野村総合研究所入社。現在は情報通信業界における経営管理、事業戦略・技術戦略立案、および中央官庁の制度設計支援に従事。
第1章 5Gが話題になる理由
第2章 5Gが変える生活
第3章 ビジネスをどう変えるのか
第4章 5Gがもたらすリスク
第5章 5G時代にわれわれは何をすべきか
要約ダイジェスト
5Gが話題になる理由
「5G」とは、「5th Generation」つまり「第5世代移動通信システム」のことだ。移動通信システムは、「1G」は音声通話、「2G」はメールやウェブ、「3G」はプラットフォームとサービス、「4G」は大容量コンテンツ、といったようにキラーサービスとともに進化してきた。
革新的なサービスが移動通信システムへのより高い要求をし、それに応えるべく移動通信システムがさらに進化することを繰り返しながら、成長を遂げてきたのだ。そして移動通信の総量が今なお指数関数的に伸びる中で、いよいよ「5G」がやってくるということだ。
通信に関する国際標準化団体である国際電気通信連合(ITU)の無線通信部門である ITU-Rは、標準化に先立って「5Gとはどういうことを実現するものか」というビジョンを検討し、2015年9月に発行した。その中で示された 5Gの利用シナリオは、「①高速大容量通信」「②超信頼・低遅延通信」「③多数同時接続」の3つだ。
これは、5Gがこれまでの「通信が速くなる」という進化だけでなく、「信頼性が高く遅延の少ない通信」「大規模に存在する端末が同時に接続できる通信」という非連続な進化となることを意味している。
「①高速大容量通信」では、4Gとの最も大きな違いとして、