- 本書の概要
- 著者プロフィール
正社員としてフルタイム勤務の中、10年以上にわたり仕事、子育て、介護を続けてきた著者が語る介護の大切な心構えは、①「気持ち・時間・お金」の優先順位付け、②介護情報にアンテナをはる、③ゴールを決めやり方を工夫する、の3つだ。この考え方をベースに、入退院、介護保険やサービス、施設などに対する具体的なノウハウが説かれている。
著者は現職のほかに、介護をきっかけに社会福祉士など福祉関連資格を取得し、川崎市で介護相談員、大手企業で認知症の在宅介護講座の講師としても活躍する人物。ほとんどの方にとって、自身の老後や親の介護はいずれは考えなければならないテーマだ。すでに介護に関わる方のみならず、若手ビジネスパーソンにもぜひご一読いただきたい。
1964年、静岡市生まれ、川崎市育ち。NEC関連会社(現職)でフルタイム勤務の中、10年以上に渡り遠距離・在宅介護を担う。両親の介護をきっかけに社会福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなど福祉に直接的・間接的に関係する資格を取得。その経験や知識を多くの方に役立てていただけるよう「在宅介護エキスパート協会」を設立、代表を務める。仕事をしながらの育児、介護にストレスが極限にまで達し、介護疲れを起こす。
その後、「自分でもできる介護」を自力で確立することを決意。アイデア発想講師としての知識を生かし、それまでの「完璧な介護」から「自滅せず親も家族も幸せになる介護」へと発想の視点を変え、現代人のための介護思考法を独自に研究する。
政令指定都市・川崎市では、介護相談員として高齢者施設での相談援助や改善提案を行うとともに、生命保険会社、鉄道会社、金融機関など大手企業にて認知症の在宅介護講座の講師として登壇、認知症の理解と家族や被介護者の心労が改善する方法を伝授している。また、「高齢者や障害者がもっと快適に暮らせる世の中を作る」というミッションのもと、高齢者・障害者を支援する団体を取材し、地方新聞では20回以にわたりその記事が掲載されるなどメディアでの実績も多数。介護する者、支援する者、専門家としての3つの顔と、行政、企業、家庭の3つの軸から介護問題を解決する唯一無二の存在として活躍している
第2章 介護保険・介護サービス…こんなときどうすれば?
第3章 親と自分の生活…こんなときどうすれば?
第4章 親のお世話…こんなときどうすれば?
第5章 介護と施設…こんなときどうすれば?
要約ダイジェスト
“頑張らない介護”の3つのポイント
私は、現在 55歳の会社員だ。夫、長女、長男という家族構成だが、ここ 10年以上、家事・子育てと並行しながら遠距離介護、実母の在宅介護を続けている。今でこそ、子育てと介護の同時進行の負担が社会問題として取り上げられているが、現在の私の感覚は「大変だけど、今となってはそうでもない」というものだ。
むろん、最初からそう思えたわけではなく、工夫をして、やっとたどり着けたものだ。介護は、ときに「やるせなさを感じ、投げ出したくなる」こともあるが、「ムリ・ムダ・ムラ」で例えるならば、ムリだけが禁物だ。ムダやムラはあっても構わない。介護する人が幸せでなければ、介護される人も幸せにはなれないと思うからだ。
ひとりで頑張らず、人に任せることも大切、という“頑張らない介護”は散々述べられてきており、介護保険サービスや施設に関しての情報も山のように出ている。むろん、これらは大切な情報だが、実際に介護を担う当事者が使いこなすには、以下の3つがポイントとなる。
1.気持ち、時間、お金に優先度をつける(方針を決める)
ポイント1は方針を決めること。親と介護者であるあなたの気持ち、時間、お金を天秤にかけてほしい。例えば、仕事が忙しくて親の介護ができない(時間を優先する)ならば、施設のプロにお願いする(お金を使う)。親の介護は自宅で自らやりたい(気持ちを優先する)ならば、自分の自由は少なくなる(時間を使う)ということだ。
気持ち、時間、お金、全て完壁にしようとするのは容易ではない。何かを優先するのら、他を少し譲る、諦めることを意識してほしい。優先すべき項目は、個人の考え・体調や周りの環境によってその都度変わるものであり、