『われわれはなぜ嘘つきで自信過剰でお人好しなのか―進化心理学で読み解く、人類の驚くべき戦略』

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 かつてわれわれ人類の脳は、道具の使用や飢え、自然災害など“物理的”課題に対応するために発達を遂げたと考えられていた。だが、近年の研究では、“社会的”課題(相互依存性の高い集団のほかのメンバーに対処するときの課題)に対応した結果、著しく脳が発達してきたことが明らかになりつつある。

 こうした人類の生存戦略や「心の進化」の過程に着目して、人間の本質に迫る学問が「進化心理学」だ。本書では、進化心理学の第一人者である著者が、数百万年続く人類の習性から、格差社会やフェイクニュース、イノベーション、協力と競争など現代の諸問題を紐解いてゆく。また、個人が幸福を得るためのヒントも多数明らかにする。

 著者はオーストラリアのクイーンズランド大学教授で進化心理学の権威として知られ、ABC、BBC、ハフィントンポストなど大手メディアに頻繁に登場する心理学者。社会学、人類学、生物学、心理学、行動経済学などに興味関心がある方はもちろん、文化や社会、組織・人事などをより一段深い視点で捉えたい方もぜひご一読いただきたい。

著者:ウィリアム・フォン・ヒッペル(William Von Hippel)
 アラスカで育ち、イェール大学で学士号、ミシガン大学で博士号を取得。その後オハイオ州立大学で十数年間教鞭をとったのち、オーストラリアのクイーンズランド大学で心理学の教授を務める。妻と2人の子供とオーストラリアのブリスベンに在住。

訳者:濱野 大道(Hamano Hiromichi)
 翻訳家。ロンドン大学・東洋アフリカ学院(SOAS)タイ語および韓国語学科卒業。同大学院タイ文学専攻修了。

第1部 われわれはどのようにヒトになったのか
 第1章 エデンからの追放
 第2章 出アフリカ
 第3章 作物、都市、王様——農業シフトがうながした心の進化
 第4章 性淘汰と社会的比較
第2部 過去に隠された進化の手がかり
 第5章 ホモ・ソシアリス——社会的なヒト
 第6章 ホモ・イノバティオ——革新するヒト
 第7章 ゾウとヒヒ——道徳的・非道徳的なリーダーシップの進化
 第8章 部族と試練——進化心理学と世界の平和
第3部 過去から未来への跳躍(リープ)
 第9章 進化はなぜ人間に幸せをもたらしたのか
 第10章 進化の命令のなかに幸せを見つける

要約ダイジェスト

エデンからの追放

 あなたとわたしはチンパンジーのような生き物の子孫であり、その生き物は 6~700万年ほど前に熱帯雨林を離れてサバンナに移り住んだ。本来の活動領域である木々に棲むチンパンジーは、動きがきわめて素早く獰猛だ。

 しかしながら、地面に降りたチンパンジーを捕まえるのはいとも簡単なことだ。かつて東アフリカを闊歩していたライオン、ヒョウのような大型食肉獣にとっては恰好の餌食となる。では、なぜ森を離れたのか?

 現在では、東アフリカ地溝帯に沿った地殻活動の影響を受けて、チンパンジーのような先祖から人間が分岐したと考えるのが一般的だ。アフリカ大陸の東側に沿った地殻活動が東アフリカ地溝帯を作りだし、エチオピア、ケニア、タンザニアにまたがる広大な土地を、突発的かつゆっくりと標高の高い高原へと押し上げていった。

 東側の熱帯雨林は徐々に乾燥し、サバンナへと変わった。つまり、森を離れたのは人類のほうではなく、森がわたしたちから離れていったということになる。熱帯雨林がサバンナに変わるにつれ、先祖たちは生き延びるために新たな方法を見つけださなくてはいけなくなった。

 それまで食べ慣れていた果物、ベリー、芽は、木々がなくなるのと同時に減り、草原には巨大な捕食動物がうろついていた。言うまでもなく、多くの先祖候補たちはそのまま死んでいった。しかし一部はそのまま繁栄を続け、

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