『SNS変遷史―「いいね!」でつながる社会のゆくえ』
(天野 彬/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 近年フェイスブック、ツイッター、インスタグラム、TikTokなど、SNSの隆盛が著しい。炎上やプライバシーなど、SNSに関する問題も頻発しているが、なぜ SNSはここまで存在感を放つようになったのか。そして、SNSの中での流行り廃りはなぜ生まれるのか。本書では、SNSの来歴とともにその影響力や特性を考察する。

 本書の大きなテーマは、「なぜユーザーは SNSを使うのか」「サービス機能の進化と設計における思想」「SNSの覇権がシフトしていく社会の変化」の3つになる。「承認欲求」や「つながり」などプライベートシーンと切っても切れない関係にある SNSだが、ビジネス観点からも今後 SNSがどのような未来をたどるのかは重要なテーマだ。

 著者は、電通メディアイノベーションラボ主任研究員として、若年層のメディア行動や SNSの動向に関する研究、執筆、コンサルティングを行う人物。SNSに「もうついていけなくなった」と感じている方、マーケティングなどで SNSと接する方、SNSの社会学的考察にも興味関心がある方はぜひご一読いただきたい。ユーザーの欲求と社会の変化の道筋をよく理解できるはずだ。

著者:天野 彬(Amano Akira)
 電通メディアイノベーションラボ主任研究員。1986年生まれ。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。若年層のメディア行動やSNSの動向に関する研究/執筆/コンサルティングを専門とする。経済番組でのコメンテーターや各種講演でのスピーカーなど経験多数。著書に、『シェアしたがる心理 SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』(2017年、宣伝会議)、『情報メディア白書』(2016~2019年版、共著、ダイヤモンド社)がある。
Twitter: @akira_amano
第1章 SNSの現在地――各ツールの使われ方と特性
第2章 SNS黎明期——理想主義とリアルタイムウェブ
第3章 SNS拡大期——スマホシフトとビジュアルコミュニケーション
第4章 SNS定着期——シェアの多様化とシミュラークル拡散
第5章 SNSのゆくえ——コミュニケーション速度と分有のあり方

要約ダイジェスト

情報との出会いは「ググる」から「タグる」ヘ

 現在の SNS利用状況を確認すると、フェイスブックが、どんな国家の人口よりも多いユーザーを集め、世界一のプラットフォームを形成していることがわかる。一方で、日本国内だけで考えると、ツイッターが最も多く使われ、インスタグラムも、この数年でフェイスブックを上回った。これは世界でも日本だけの現象だ。

 日本では若者に人気のあるツイッターやインスタグラムに勢いがある。すなわち、デジタルコミュニケーションは若者の世界なのだ。若者に好かれなければ、SNSは成功できないとも言えるし、「大人のソーシャル」をどう構築するかが、実は重要な課題だ。

 私たちの「つながり」を考えるうえで、きわめて重要なファクターがスマートフォンの普及だ。スマホの普及とユーザー数の拡大によって誰もが発信者となる中で、SNSは、ただ人とつながり合う場という意味合いを超えて「情報と出会う場所」という機能性を帯びていった。

 SNSで情報を探すとき、鍵になるのはハッシュタグだ。情報との出会いは「ググる」から「タグる」へ、比重が変わりつつある。タグるとは、 ユーザーが発信する情報をユーザー同士で集めたり役立てたりする情報行動であり、ユーザーに主導権が移る時代における情報拡散の形を表している。

 実際に、インスタグラムの公式データによれば、

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