- 本書の概要
- 著者プロフィール
フルキャリは今後、企業の働き方改革や人材不足などを背景に増えていくと考えられるが、一方で、子育てしながら働く女性のマネジメント経験が豊富な管理職は実はまだ少ない。そこで本書では、働く女性約 5,500名を対象とした調査をもとに、フルキャリが職場や上司に望んでいるものや、活躍を引き出すマネジメント手法などについて解説する。
著者は野村総合研究所上級コンサルタントで、女性活躍推進や働き方改革などを専門とする人物。著者によれば、フルキャリにとっては、従来のワークライフバランスにグロース(成長)の要素を取り入れることが大切だという。子育てしながら働く部下を持つマネジャー層はもちろん、フルキャリを目指す女性にもぜひご一読いただきたい。
株式会社野村総合研究所未来創発センター上級コンサルタント。2004年、慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程を修了。同年、株式会社野村総合研究所に入社。以来、官公庁の政策立案支援、民間企業の事業戦略立案や新規事業創造支援などに従事。2018年4月より現職。
専門は女性活躍推進や働き方改革などの企業における人材マネジメント、保育や生活支援関連サービス産業など。著書に『モチベーション企業の研究』(共著、東洋経済新報社)『東京・首都圏はこう変わる!未来計画 2020』(共著、日本経済新聞出版社)がある。
第2章 なぜ、女性の部下のマネジメントが難しいのか
第3章 フルキャリは何を望んでいるのか
第4章 フルキャリの活躍を引き出すマネジメント
第5章 「ワークライフバランス」から「ワークライフ&グロースバランス」へ
第6章 フルキャリのパフォーマンス最大化のために企業がすべきこと
要約ダイジェスト
子育てにも仕事にも意欲的に取り組みたい「フルキャリ」の出現
これまで一般的に、働く女性は、男性と対等に仕事での成功やキャリアアップを追求したい「バリキャリ」か、家庭やプライベートの時間を優先して仕事をする「ゆるキャリ」かといった二元論で語られてきた。
しかし近年、働く女性の中に、暮らしや子育てにも、仕事やキャリアにも意欲的に取り組みたいと考える女性が増えている。筆者は彼女たちを「バリキャリ」でも「ゆるキャリ」でもない「フルキャリ」と定義した。人材不足が常識となるこれからの組織には、1人1人の「フルキャリ」のパフォーマンスを最大化できるマネジャーが必要不可欠だ。
これまで企業は、女性が仕事を続けられるよう、様々な環境整備や支援を進めてきた。フルキャリにとって、これらの支援が効果的ではなかったとは思わないが、仕事でも成果を出して自分を高めていきたいと考えるフルキャリにとって、少しずつピントがずれていた環境整備や支援だったことも否めない。
例えば、「子どもが小さいうちは、子育てを優先できたほうがよいだろう」など、男性管理職は、子育てをしながら働く女性に「配慮」をすることがある。しかし、働く女性のすべてがそうした配慮を望んでいるわけではない。事実、フルキャリの約 70%が、