『市場を変えろ―既存産業で奇跡を起こす経営戦略』
(永井俊輔/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 「レガシーマーケット」というと、旧態依然とした衰退産業、といった負のイメージが思い浮かぶ方も多いはずだ。しかし見方を変えると、そこで生き残ってきたレガシー企業には既存顧客や金融機関とのリレーション、技術、長年の成功や失敗のノウハウなど様々なアセット(資産)がある。これらは実はイノベーションを起こすための強力な武器だ。

 本書では、上記アセットを活かし、成熟産業で中小企業がイノベーションを起こす手法「レガシーマーケット・イノベーション(LMI)」の実践ステップを豊富な事例とともに解説。この手法の本質は、テクノロジーによって既存事業の収益性を高め、同時に関連領域でイノベーションを起こす成熟企業ならではの「両利きの経営」にある。

 著者は投資ファンドを経て群馬県で父親が経営する看板屋に入社、レガシーマーケット・イノベーションによって4年で売上2倍の成長を実現。現在は中小企業の再生やエンジェル投資家としても活躍する。本書が提唱するイノベーションの考え方と手法は、成熟企業のみならずベンチャーや大企業側の人間にも役立つヒントが詰まっている。

著者:永井 俊輔(Nagai Shunsuke)
 クレストホールディングス株式会社代表取締役社長。1986年群馬県生まれ。早稲田大学卒。株式会社ジャフコでM&Aやバイアウトに携わった後、父親が経営する株式会社クレストに入社。CRM(顧客関係管理)やマーケティングオートメーションを活用して4年間で売り上げを2倍に拡大し、クレストをサイン&ディスプレイ業界の大手企業に成長させる。
 2016年に代表取締役社長に就任。ショーウィンドウやディスプレイをウェブサイト同様に正しく効果検証するリアル店舗解析ツール「エサシー」を開発するなど、リアル店舗とデータサイエンスの融合を目指す。成熟産業に ITやテクノロジーを組み合わせ、新たな価値を生み出す LMI(レガシーマーケット・イノベーション)に尽力。2019年9月のホールディングス化に伴い、クレストホールディングスの代表取締役社長に就任。複数の事業会社を束ねるレガシーマーケット・イノベーションの企業群を構想している。
はじめに 夢の続きを描こう
序 章 レガシー企業だからできるイノベーションがある
第1章 なぜ、レガシー企業にイノベーションが必要なのか
第2章 自社と市場の「現在地」を把握する
第3章 「Lの世界」の成長戦略
第4章 「Iの世界」の成長戦略
第5章 イノベーションの実現に欠かせないこと
おわりに

要約ダイジェスト

投資ファンドから看板屋へ突然の辞令

 2009年の夏、私は投資ファンドからクレストに転職した。クレストは私の父が興した会社で、看板の製作施工やショーウインドウディスプレイの設計施工(サイン&ディスプレイ事業)などを手がけている。後継ぎではあったが待遇の特別扱いはなく、営業の平社員として入社した。

 ここから私のレガシーマーケット・イノベーション(LMI)が始まった。レガシーマーケットとは市場の成長性と生産性が伸び悩んでいる既存産業のことで、「斜陽産業」といわれることも多い。そのマーケットに新しいアイデアやテクノロジーを導入し、収益性を高める。イノベーションに富んだ商品やビジネスモデルを作り出し、マーケットに刷新する。それがLMIだ。

 ただ、当時の私はそんなことはまったく思っていなかった。サイン&ディスプレイ事業の営業を始めてすぐに「サイン&ディスプレイ市場の成長性は高くない」と感じた。また、がむしゃらに営業を続けた私が感じたのは、サイン&ディスプレイ事業の仕事に限らず、中小企業には非効率な部分が多いということだった。

 B2Bでいえば、見積書や案件のデータが個人のエクセルや手書きで管理されている、顧客とのやりとりや営業履歴が共有化されていない、

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