『2030年アパレルの未来―日本企業が半分になる日』
(福田稔/著)

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 近年「若者のファッション離れ」や「服が売れない」といった言説、百貨店の不振などが報道され、国内ファッション・アパレル産業を取り巻く環境は厳しさを増している。ただし目を世界に転じてみると、ファストファッションやラグジュアリーブランドが成長し、新興国中間層の拡大などによりアパレル産業自体も近年毎年成長しているのだ。

 さらにはテクノロジーやデジタルの進化によって新たな機会も生み出されている。ではなぜ日本はこうした波に乗れなかったのか。本書はその要因に迫り、今後 10年、2030年までに日本のアパレル産業が復活する処方箋を説いた一冊だ。テクノロジーがもたらす本質的なインパクトや最先端の世界のアパレル・ECの成功事例なども取り上げている。

 著者の福田稔氏は経営戦略コンサルティング大手ローランド・ベルガーのパートナーで、東京オフィスの消費財・流通プラクティスのリーダーを務める人物。アパレル業界のスタートアップ支援も行っている。本書で提唱される海外展開や独自性の追及といった戦略はアパレル業界以外の方にも大いに参考になるはずだ。ぜひご一読いたきたい。

著者:福田 稔(Fukuda Minoru)
 ローランド・ベルガーパートナー。慶應義塾大学商学部卒業、欧州IESEビジネススクール経営学修士(MBA)、米国ノースウェスタン大学ケロッグビジネススクールMBA exchange program修了。株式会社電通国際情報サービスにてシステムデザインやソフトウェア企画に従事した後、2007年ローランド・ベルガーに参画。消費財、小売、ファッション、化粧品、インターネットサービスなどのライフスタイル領域を中心に、成長戦略、デジタル戦略、グローバル戦略、ビジョン策定など様々なコンサルティングを手掛ける。ローランド・ベルガー東京オフィスの消費財・流通プラクティスのリーダー。
 経済産業省「服づくり4.0」をプロデュースし、2017 57th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS「クリエイティブイノベーション部門」ACCゴールド受賞。同省主催の「若手デザイナー支援コンソーシアム」にも参画するなど、政策面からのアパレル業界に対する支援も実施。また、プライベートエクイティファンドの支援を通じた消費財・小売企業に対する投資・再生支援実績は業界トップクラス。シタテル株式会社の社外取締役や株式会社IMCFの戦略アドバイザーを務めるなど、業界の革新を促すスタートアップ企業に対する支援も行っている
第1章 まずは「アパレル不況」を正しく理解する
第2章 アパレル業界で進む、デジタル化がもたらす10の本質的変化
第3章 AI(人工知能)はアパレル産業をどう変えるか
第4章 世界の最先端では何が起こっているか
第5章 2030年の消費市場は、どうなっているのか
第6章 結局、今後の10年間で、国内アパレル産業はどう変化し、いま何をすべきなのか

要約ダイジェスト

日本のアパレル業界に未来はあるか

 国内アパレル業界を見渡すと、世界で事業展開できている企業は、ファーストリテイリングや良品計画などごくわずかである。多くは依然として国内市場に頼っている。しかも、頼みの国内市場は、バブルのころの 15兆円規模から3分の2以下にまで減少している。

 にもかかわらず、国内アパレルのビジネスモデルはほとんど進化していない。3ヵ月から半年先の売れ筋を読んで見込み生産し、当たり外れを繰り返す。結果として、市場は常に供給過剰となり、年中セールが開催され、行き場を失った商品は一部は焼却処分までされている。

 このように、日本のアパレル業界には課題が多い。しかしながら、「日本のアパレル業界に未来はないのか」と聞かれれば、私は間違いなく「ある」と答えたい。まずひとつめの理由は、人間には服が必要だからだ。

 衣服は生活必需品であるのみならず、自己表現の手段でもある。所属しているコミュニティ、階級、職業などに属するための欲求や、冠婚葬祭などのイベントによっても需要が生まれる。デジタルカメラの登場によってフィルムは消滅したが、デジタル化によってアパレルの需要がなくなることはない。世界的に見ればアパレルは普遍的な商材であり、かつ成長産業なのだ。

 2つめの理由は、

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