『世界史とつなげて学ぶ 中国全史』
(岡本隆司/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 昨年来、米中貿易戦争がメディアに取り上げられない日はない。今後数十年の世界経済においては、米国が覇権を保ち続けるとも、中国やインドが台頭するとも言われている一方で、中国の景気減速傾向も明らかになりつつある。また、中国は尖閣諸島問題、南沙諸島や香港デモなど、東アジア全体の政治情勢にも大きな影響を与えている。

 いまや業界を問わず、中国の先行きへの正確な理解はビジネスパーソンの必須事項といってもいいだろう。そこで重要となるのが、近年の表層的な事象に目を奪われるのではなく、歴史的観点から同国を知ることだ。本書では、中国の古代から現代までを流れを大づかみに理解し、現代中国が抱える問題の根本を浮き彫りにする。

 本書によれば、「歴史的な多元性」と「一つの中国」の相克こそが歴史を貫く中国最大のテーマであり、そこに強みも弱みも隠れている。著者は京都府立大学教授で、中国近代史、東アジア国際関係史を専門とする気鋭の歴史学者。対中国ビジネスに関わる方はもちろん、歴史からビジネスへの新たな視座・ヒントを得たい方はぜひご一読いただきたい。

著者:岡本 隆司(Okamoto Takashi)
 京都府立大学教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科東洋史学博士後期課程満期退学。博士(文学)。宮崎大学助教授を経て、現職。専攻は東洋史・近代アジア史。著書に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会・大平正芳記念賞受賞)、『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会・サントリー学芸賞受賞)、『世界のなかの日清韓関係史』(講談社選書メチエ)、『李鴻章』『袁世凱』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理』(中公新書)、『中国の誕生』(名古屋大学出版会・樫山純三賞、アジア太平洋賞受賞)、『清朝の興亡と中華のゆくえ』(講談社)、『世界史序説』(ちくま新書)、『近代日本の中国観』(講談社選書メチエ)、『増補 中国「反日」の源流』(ちくま学芸文庫)など多数。
第1章 黄河文明から「中華」の誕生まで
第2章 寒冷化の衝撃―民族大移動と混迷の 300年
第3章 隋・唐の興亡―「一つの中国」のモデル
第4章 唐から宋へ―対外共存と経済成長の時代
第5章 モンゴル帝国の興亡―世界史の分岐点
第6章 現代中国の原点としての明朝
第7章 清朝時代の地域分立と官民乖離
第8章 革命の 20世紀―国民国家への闘い
結 現代中国と歴史

要約ダイジェスト

中国をとらえなおす

 現代日本人は好むと好まざるとにかかわらず、経済的にも軍事的にも大国となった隣国・中国の存在を無視して暮らしていけない。その際決定的に重要なのが、日中の間に生じている表層的な事象だけを追うのではなく、歴史を正しくとらえる視点だ。

 目前の現代中国とは、過去の歴史の積み重ねの決算であり、通過点でもある。そこに至るプロセスを知ることなしに、「中国人の考え方は理解できない」「中国の存在は日本にとって脅威」などと評論しても意味がないのだ。

 今日の中国の社会構造を端的に表現するなら、多元化と上下の「乖離」というキーワードは欠かせない。では、その分水嶺が中国史上のどこにあったのかといえば、世界的な寒冷化による「14世紀の危機」の時代と、それに続く大航海時代だ。

 さかのぼれば、中国は紀元前の時代から、もともと多元的な世界だった。多くの勢力が割拠するとともに、身分階層も分かれていたのだ。それが秦漢帝国によって統一され、「フラット」な社会が実現しつつあった時期もあった。ところが3~4世紀の寒冷化によってそうした趨勢が頓挫し、

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