- 本書の概要
- 著者プロフィール
本書では、河川から樹木の形状、工業製品、都市、政治・社会制度、冨と資源の流れ、情報、人工知能に至るまで、コンストラクタル法則から分析し、成長や進化、生と死の本質に迫る。そこから見えてくるのは、生物と無生物とに本質的な違いはなく、動きながら自由に変化し、流れているものこそが生命であるという新たなパラダイムだ。
著者は、デューク大学 J.A.Jones特別教授を務める熱力学の第一人者で、「世界で最も論文が引用されている工学系の学者100名」にも選出。11か国の大学から18の名誉博士号を授与され、2018年には米国版ノーベル賞とも言われるベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞。ビジネスや世界への新たな視座を得たい方はぜひご一読いただきたい。
1948年ルーマニア生まれ。デューク大学 J. A. Jones 特別教授(distinguished professor)。マサチューセッツ工科大学にて博士号(工学)取得後、カリフォルニア大学バークレー校研究員、コロラド大学准教授を経て、1984年からデューク大学教授。30冊の書物と650以上の論文を発表しており、「世界で最も論文が引用されている工学系の学者100名(故人を含む)」に入っている。
1999年に米国機械学会と米国化学工学会が共同で授与する「マックス・ヤコブ賞」を受賞。2006年には熱物質移動国際センターが隔年で授与する「ルイコフメダル」を受賞。これらを二つとも受賞している研究者は少なく、いずれも熱工学の歴史に名を残した人物である。11か国の大学から18の名誉博士号を授与されている。2018年には米国版ノーベル賞とも言われているベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞。1996年に提唱した「コンストラクタル法則」もその受賞理由に挙げられている。邦訳に『流れとかたち―万物のデザインを決める新たな物理法則』(柴田裕之訳、木村繁男解説、紀伊國屋書店、2013年)がある。
訳者:柴田 裕之(Shibata Yasushi)
1959年生まれ。翻訳家。早稲田大学理工学部、アーラム大学卒。訳書にハラリ『ホモ・デウス』『サピエンス全史』(河出書房新社)、ベジャン『流れとかたち』、ドゥ・ヴァール『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』、コーク『身体はトラウマを記録する』(紀伊國屋書店)、オーウェン『生存する意識』(みすず書房)、ケーガン『「死」とは何か』(文響社)ほか多数。
解説:木村 繁男(Kimura Shigeo)
1950年生まれ。公立小松大学教授(生産システム科学部・学部長)、金沢大学名誉教授。早稲田大学理工学部機械工学科卒業後、一般企業勤務ののち、コロラド大学大学院工学研究科においてエイドリアン・ベジャンを指導教授として博士号取得(工学)。カリフォルニア大学ロサンゼルス校、通商産業省工業技術院、金沢大学教授を経て現職。専門は伝熱工学。
第2章 全世界が望むもの
第3章 目的を持った動きとしての富
第4章 テクノロジーの進化
第5章 スポーツの進化
第6章 都市の進化
第7章 成長
第8章 政治、科学、デザイン変更
第9章 時間の矢
第10章 死とは何か
第11章 物理学的現象としての生命と進化
解説 木村繁男
訳者あとがき 柴田裕之
要約ダイジェスト
生命とは何か
私は 1996年に「コンストラクタル法則」(生物・無生物を問わず、万物はより良く流れるかたちに進化するという物理法則)という言葉を造った。コンストラクタル法則は生命を、生物界と無生物界の両方の領域で自由に進化する動きと定義している。変化し、より良いアクセスを見つける自由を動きが持たないときには、生命は終わる。
コンストラクタル法則の視点に立つと、生命現象はいたるところにある。生命は無生物界(河川、稲妻、雪の結晶、乱気流など)を生物界(動物、植物、社会、テクノロジーなど)と結びつける。動きは差異であり、差異は目に見える。私たちはこの現象を、構成、配置、デザイン、構造、変化、進化といった多くの言葉で呼ぶ。
私はコンストラクタル法則こそが、生命を持続する、進化するデザイン(力の生成と利用、輸送、テクノロジー、進化、さらには、新しいアイデアや装置、知識、富、より良い統治の拡がり)の本質であることを示す。
地球上での文明の発展と拡がりは、全体のより大きな動きのために、より多くの力がより多くの個人へと向かう流れだ。この流れは、