『コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす』
(オーデッド・シェンカー/著)

  • 本書の概要
  • 著者プロフィール
  • 目次
 企業活動におけるイノベーションの重要性は誰もが理解しているはずだ。一方で「模倣(イミテーション)」となると、マイナスのイメージを持たれる方が多いのではないだろうか。だが、アップル、IBM、GE、ウォルマートなど、イノベーティブと思われている企業は、実は模倣の重要性を理解し、かつそれを戦略的に活用しているのだという。

 本書では、上記企業のような卓越した模倣者の事例や調査、インタビューから、イノベーション(Innovation)と模倣(Imitation)を融合させたイモベーション(Immovation)という概念を示し、模倣戦略を実践するステップを具体的に解説。日本語版には、『模倣の経営学』の著書もある経営学者 井上達彦氏による日本企業の事例分析も加えられている。

 著者はオハイオ州立大学フィッシャー・カレッジ教授で、フォード・モーター社グローバル・ビジネス・マネジメント担当理事も兼務。本書は世界10カ国語に翻訳されロングセラーになっている。イノベーション不足に悩む経営者や新規事業担当者はぜひご一読いただきたい。新たな視野が開かれるはずだ。

著者:オーデッド・シェンカー(Oded Shenkar)
 オハイオ州立大学フィッシャー・カレッジ教授、エルサレム・ヘブライ大学で東アジア研究と社会学の学位、コロンビア大学で博士号を取得。博士論文では、社会学、企業経営、東アジア研究の観点から、中国の官僚制度を論じる。フォード・モーター社グローバル・ビジネス・マネジメント担当理事を兼務。ケンブリッジ大学、バーミンガム大学、北京大学、対外経済貿易大学(北京)、IDC(イスラエル)、国際大学(日本)など、世界の教多くの大学でも教鞭をとる

監訳:井上 達彦(Inoue Tatsuhiko)
 早稲田大学商学学術院教授。1968年兵庫県生まれ。92年横浜国立大学経営学部卒業、94年神戸大学大学院経営学修士課程修了、97年同経営学博士(Ph.D.)。駿河台大学経済学部講師、広島大学大学院社会科学研究科助教授などを経て、2008年より現職。経済産業研究所(RIETI)ファカルティフェロー、ペンシルベニア大学ウォートンスクール・シニアフェローを兼務。専門分野は、競争戦略とビジネスシステム(ビジネスモデル)。

翻訳:遠藤 真美(Endo Mami)
 翻訳者。主な訳書に、ティム・ハーフォード『アダプト思考』(武田ランダムハウスジャパン)、ジャスティン・フォックス『合理的市場という神話』(東洋経済新報社)、リチャード・セイラー/キャス・サンスティーン『実践行動経済学』(日経BP社)などがある。

日本語版への序文
第1章 繁栄するコピーキャットたち
第2章 模倣の科学と技法
第3章 模倣の時代
第4章 偉大なる模倣者たち
第5章 模倣の能力とプロセス
第6章 模倣という戦略
第7章 イモべーション 成功の条件
特別寄稿 日本企業のイモベーション
原著あとがき
監訳者あとがき

要約ダイジェスト

模倣者の優位性

 イノベーションは、企業が生き残り、成長し、繁栄するうえで欠かすことのできない重要な要素である。イノベーションを起こすと、あふれ出るほどの独占利益を手にすることができる。しかしそれも、模倣者が現れるまでの話である。模倣者は必ず現れる。

「模倣」というとマイナスのイメージがつきまとうが、数多くの模倣者が大きな成功を収めて、イノベーターを追いやっているのが現実だ。たとえば、ダイナースクラブは世界で初めてクレジットカードを発行したが、今では市場の片隅に追いやられ、VISAやマスターカード、アメリカン・エキスプレスがクレジットカード市場を支配している。

 なぜ、多くの模倣者が成功しているのか。一つには、イノベーターやパイオニアがすでに投資して事業や市場を開拓しているため、研究開発費を節約できるばかりか、顧客はすでに新しい製品やサービスをどう使うか知っているので、マーケティング費用も抑えられることがある。

 1948年から2001年に生み出されたイノベーションを対象にした大規模な調査から、イノベーターたちは自分が起こしたイノベーションの現在価値の2.2%しか獲得していないことが明らかになっている。残りは模倣者たちが手に入れたものと考えられる。

 生産性を大きく向上させるのは、イノベーションそのものではなく、その後に加えられる改良である。だとすると、

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