『知財がひらく未来』
(山本 秀策/著)

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  • 著者プロフィール
  • 目次
 かつて技術大国と言われた日本のものづくり産業。その凋落やイノベーション不足の要因の一つとしてあげられるのが、特許などの知的財産(知財)戦略のミスだ。諸外国では、国をあげて大学・企業・ベンチャー・投資家が連携してイノベーション創出サイクルを回し、知財権を戦略的に取得・活用し、ビジネスを有利に進めているのだ。

 それゆえ、知財戦略は、世界で戦う日本企業、ひいては国力低下が危惧される日本経済にとっての必須事項とも言える。知財はアイデアを守るための「防具」としてだけではなく、積極的攻撃的にビジネスを進めるための「武器」にもなる。本書は多くの事例からそうした経営戦略としての知財を論じた知財戦略の入門書である。

 著者は知財のスペシャリストである弁理士として、フェイスブック、ヒューレット・パッカード、ハーバード大学、東大、京大など国内外に数多くの著名クライアントを持つ。本書は「知財論」であり、グローバルに活躍する著者の哲学を解説した「仕事論」でもある。知財を縁遠く感じているビジネスパーソンや経営者こそ手に取っていただきたい。

著者:山本秀策(やまもと・しゅうさく)
 弁理士。山本特許法律事務所創設者。1943年 奈良県に生まれる。1966年 大阪大学工学部発酵工学科卒。1966年 キッコーマン醤油入社。1974年 同社退社。小規模特許事務所を経て、米国ワシントンD.C.へ。1979年 山本秀策特許事務所を大阪に開設。2014年 組織変更し、山本特許法律事務所に。現在、弁護士・弁理士30数名を含む総勢160名。企業法務・知財・競争法・訴訟・紛争解決などを扱う。米国企業・大学を代理した日本への特許出願件数は16年間連続トップ(2003年~2018年:野村総研特許データベース)。
 インスタグラム、アイロボット、ヒューレット・パッカード、マイクロチップ、ハーレーダビッドソン、ウーバー、ゴープロ、ムーミン、フェイスブック、スナップチャット、トリップアドバイザー、マリメッコ、ノキア、BBC、エアビーアンドビー、DFSグループ、デルモンテ、アルコン、コヴィディエン、メドトロニック、ノバルティス、ギリアド・サイエンシズ、アムジェン、バイオジェン。ハーバード大学、MIT、スタンフォード大学、カリフォルニア大学、東京大学、京都大学、大阪大学、北海道大学、名古屋大学など有名顧客多数。
 その他、大阪大学産学共創本部顧問、大阪大学大学院医学系研究科招聘教授、崇城大学客員教授、大阪商工会議所サービス産業部会長・ライフサイエンス振興委員会副委員長、関西経済同友会幹事。
はじめに
第1章 知財に生きる―私の歩んだ道
第2章 クライアント・ファーストの哲学
第3章 日本の未来に向けて
第4章 知財の力―日本の再生を願って
おわりに

要約ダイジェスト

知財は武器である

 知財とは戦う武器である——これが私の持論だ。例えば、知財の代表格である特許は、高度な発明に対してその技術内容の公開を前提として一定期間の独占権を与え、発明の保護・利用を図ることを目的とした法律である。

 特許をビジネスに結びつければ、他者を排除しその権利を独占的に使用できるため、ビジネスを優位に進めることができる。また、他者の使用を認める場合は、相応のライセンス収入を得ることができる。

 一方、権利を侵害する者があれば、侵害行為の差止めに加えて、侵害品の廃棄や設備の停止、損害賠償の請求などができる。特許は、自らの権利を「守る」だけのものではなく、ビジネスという戦いを勝ち抜くための強力な「武器」になるのである。

 権利の及ぶ範囲が広くかつ強力な特許の取得は、出願時にほぼ決まるといってよい。特許出願は、発明とそれを文章で表現した明細書から成っている。そもそも発明に小さな価値しかなければ、強い特許を取得することは不可能である。しかし、「価値の高い発明」と「強力な特許」は別物だ。「価値の高い発明」を強力にするのは、「明細書」の書き方・考え方次第なのである。

 代理人は事業目的や経営戦略を理解したうえで、

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