- 本書の概要
- 著者プロフィール
前半はロケット開発を主導した天才や、アポロ計画の影の立役者となった技術者のエピソード。後半は人類が行ってきた惑星探査、地球外生命体探索の最前線について。「宇宙に命はあるのか?」という問いに多くの人々が創造力をかきたてられ、現実は、あと 20年ほどで地球外生命体の存在が発見されるかもしれない段階まで前進しているという。
著者は NASA火星探査計画「マーズ 2020ローバー」の自動運転ソフトウェアの開発に携わる気鋭の研究者。本書は、単なる科学書ではなく、1章1章がドラマティックなノンフィクションとして描かれている。これまで宇宙に関心がなかった方こそぜひご一読いただきたい。思わず引き込まれてしまうロマンと発見に満ちた読書体験となるはずだ。
NASAの中核研究機関であるJPL(Jet Propulsion Laboratory:ジェット推進研究所)で、火星探査ロボットの開発をリードしている気鋭の日本人。1982年大阪生まれ、東京育ち。2005年東京大学工学部航空宇宙工学科卒業。2012年マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙工学科博士課程および同技術政策プログラム修士課程終了。慶應義塾大学理工学部助教を経て、現在 NASAジェット推進研究所に研究者として勤務。2007年、短編小説『天梯』で織田作之助青春賞。2014年に著書『宇宙を目指して海を渡る』を刊行。
新創世記
プロローグ
第1章 幼年期の終わり~宇宙時代の夜明け
第2章 小さな一歩~技術者のアポロ
第3章 一千億分の八~太陽系探査全史
第4章 Are we alone?~地球外生命探査最前線
第5章 ホモ・アストロルム~我々はどこへ行くのか?
エピローグ
要約ダイジェスト
宇宙時代の夜明け
ヴェルナー・フォン・ブラウン博士は人類を宇宙へ導いた最大の立役者だ。彼がいなければ、人類の宇宙への旅は 50年、100年遅れていたかもしれない。1930年代、ドイツ軍はロケットに兵器としての可能性を再発見し、フォン・ブラウンという掘り出し物を見つけた。
燃えるように熱い宇宙への夢を抱いたこの若者は、20歳とは思えない知識とリーダーシップを備えていた。1943年、もはやドイツの勝利は絶望的だったが、ロケットが戦況を逆転する最終兵器になるとヒトラーは狂信した。フォン・ブラウンの夢の結晶である A4ロケットには、「報復兵器2号」を意味する V2という悲しい名が与えられた。
ヒトラーは戦争に勝つためにフォン・ブラウンの技術が必要で、フォン・ブラウンは宇宙へ行くロケットを作るためにナチスの金が必要だったのだ。だが、ドイツが戦争に負けることをフォン・ブラウンは冷静に理解していた。そして、勝利者たちが彼の技術を喉から手が出るほど欲しがることも知っていた。
終戦後、夢を叶えるために自由と金が必要だと考えた彼は 124人の技術者たちと、宇宙への夢とともにアメリカへと向かった。一方、ソ連軍も残されていた部品、書類、図面や技術者たちを根こそぎ持ち去った。
それらは、セルゲイ・コロリョフという、