- 本書の概要
- 著者プロフィール
著者は「繁盛店づくり」は「人づくり」をモットーに、泥臭く、非効率的ともいえるやり方で地域の人に愛されるお店をつくりあげた。その思考習慣や人材育成手法、接客やお店づくり、口コミのつくり方などが飾らない筆致で説かれ、小売り・サービス業以外の方にも、仕事や人生のヒントが見つかる内容となっている。
著者は高校卒業後は調理師専門学校へ進学するも退学。以後はアルバイトやウィンドサーフィン、実家の居酒屋の手伝いなど、35歳までは夢もなく遊び回っていたと自ら振り返る。一念発起して繁盛店のカリスマ店主になるストーリーは、読み物としても面白いだけでなく、働く意味やビジネスの原点を考えさせられるはずだ。
岡むら浪漫代表。母親が60年前に始めた居酒屋を、23歳のときに手伝うことから、居酒屋の道に入る。35歳にして本気で居酒屋経営に取り組む。口コミだけの繁盛店をつくり上げ、現在は静岡県で7店の居酒屋を経営している。メディアでも注目を浴び、全国で講演を行うなど、活動の幅を広げている。「居酒屋から藤枝を元気にする会」を立ち上げるなど、地元の活性化にも取り組んでいる
第2章 店づくり 入口はわからないほどいい
第3章 人づくり スタッフはみんな舞台俳優
第4章 コトづくり 心も満腹になってもらいたい
第5章 未来づくり 夢がなくても人は輝ける
解 説 宣伝なしでも行列ができる居酒屋の秘密 西田文郎
要約ダイジェスト
人生初の「自分との約束」
静岡県藤枝市にある「遊洒 岡むら」(通称「岡むら」)は、実は 60年の歴史を持っている。というのも、もともとはおふくろが始めた居酒屋だからだ。事務職しかやったことのないおふくろが必死で店を切り盛りし、店はいつもお客さんでいっぱいだった。
おふくろが命に関わるような病気にかかっているかもしれないと判明し、私は急遜、実家に戻り、おやじと2人で店をやりくりすることになった。その後おふくろは無事に退院できて、私は実家の居酒屋を手伝うようになったが、私はまさに“手伝ってるだけ”状態で、「この店を繁盛させよう」などと考えたこともなかった。
そんな私に、ある日おふくろが「長い間この仕事を続けてきたけれど、私の居酒屋人生の集大成として最後にもう一度、このお店と家を新しく、そして大きく、建て直したいんだよね。おまえ、手伝ってくれないかい」と言った。その気持ちはわからなくもないので、「わかった、手伝うよ」とは言ったものの「面倒だなぁ」なんて思っていた。
そのことを、ある日ごく軽い気持ちで馴染みのお客さんに話すと、ものすごい剣幕でそのお客さんに怒られた。「おまえは、どこまでバカ野郎なんだ!そんなの母さんの夢でも何でもなく、いつまでたってもチャランポランなおまえの将来を案じてのことなんだ。